海外ジャーナルクラブ
1年前
Weinbergは非筋肉浸潤性膀胱癌 (NMIBC) の患者を対象に、 BCGワクチンが死亡および認知症の発症にどのように影響するかをコホート研究で検討。 その結果、 BCGワクチンはアルツハイマー病および関連する認知症 (ADRD) の発生率およびリスクを有意に低下させることと関連した。 本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。
ワクチンと認知症リスク低下の本研究のBCGに限らず、 インフルエンザワクチン、 肺炎球菌ワクチンのほか多くのワクチンで言われています。 ですので、 本研究成果も仮説の提唱以上は言えず、 冷静な結果の解釈が必要です。 JAMA Net Open雑誌はそのような仮説の提唱を多く採用しています。
結核予防のために使用されているBCGワクチンは、 複数の非特異的な有益な効果をもたらし、 現在、 NMIBCに対する治療としてBCGワクチン膀胱内投与が推奨されている。 さらに、 BCGワクチンはアルツハイマー病および関連する認知症 (ADRD) のリスクを低減させるという仮説もあるが、 これまでの研究では、 サンプルサイズ、 研究デザイン、 または分析によって制限されていた。
1987年5月28日~2021年5月6日にNMIBCと最初に診断された50歳以上の患者。
8週間以内に臨床的に筋浸潤癌に進行せず、 NMIBC診断後1年以内にADRDの診断を受けなかった症例 (BCGワクチン治療者または対照者) を15年間にわたり追跡調査。
診断コードと薬剤を用いて特定されたADRD発症までの時間。
BCGワクチンによる治療は、 ADRDの発生率低下と関連しており (HR 0.80、 95%CI 0.69-0.99)、 70歳以上の患者では、 ADRD発生率がさらに低下した (HR 0.74、 95%CI 0.60-0.91)。
競合リスク分析では、 BCGワクチンは最初の5年間のADRDの発症リスク低下 (5年リスク差 -0.011、 95%CI -0.019--0.003) およびADRDの早期診断がない患者における死亡リスク低下 (5年リスク差 -0.056、 95%CI -0.075--0.037) と関連があった。
NMIBC患者のコホートにおいて、 死亡を競合イベントとして考慮した場合、 BCGワクチンはADRDの発生率およびリスクを有意に低下させることと関連した。 しかし、 リスクの差は時間によって変化した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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