【EHA 2025】急性骨髄性白血病の注目3演題を解説
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HOKUTO編集部

10ヶ月前

【EHA 2025】急性骨髄性白血病の注目3演題を解説

【EHA 2025】急性骨髄性白血病の注目3演題を解説
2025年6月にイタリア・ミラノで開催された欧州血液学会 (EHA 2025) において発表されたAML領域の3演題について、 大阪国際がんセンター血液内科副部長の藤重夫先生にご解説いただきました。

第Ⅲ相AMLSG 21-13試験

CBF-AMLへのダサチニブ+強化化学療法、 最終解析結果

急性骨髄性白血病 (AML) のうち、 t(8;21)(q22;q22.1)/RUNX1::RUNX1T1やinv(16)(p13.1q22)/t(16;16)/CBFB::MYH11といった染色体異常を伴う例は、 一般にcore-binding factor AML (CBF-AML) と総称され、 比較的予後良好とされる。

一方で、 CBF-AMLにおいてKIT遺伝子変異の合併やKIT発現の異常調節がしばしば認められ、 これが予後不良因子として働くことが知られている。 現状ではKITへの特異的な阻害薬はない状況だが、 BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬ダサチニブが野生型KITおよび変異型KITにも効果を示すことが知られている。 先行する2件の第Ⅰb/Ⅱ相試験においては、 CBF-AMLに対するダサチニブ+化学療法が安全かつ有望な治療選択肢として報告されていた。

今回は、 CBF-AML患者202例を対象とした第Ⅲ相無作為化比較試験AMLSG 21-13の最終解析結果が報告された。

ダサチニブ併用群と強化化学療法単独群に無作為割付

患者は、 強化化学療法 (3+7誘導療法および高用量シタラビン4コース) +ダサチニブ併用 (投与期間 : 寛解導入期に8–21日、 地固め療法に 4–28日、 その後1年間の維持療法) 群 (100例) と強化化学療法単独群 (102例) に1 : 1で無作為に割り付けられた。

EFSは対照群との有意差を認めず

結果的には、 EFSにおいて両群の有意差は認められず (HR 0.92、 p=0.66)、 4年EFS率はダサチニブ群44%、 標準治療群41%と、 ほぼ差はなかった。 また、 年齢、 サブタイプ (t[8;21] vs inv[16])、 KIT変異の有無で層別化したサブグループ解析でも差は認められなかった。 全生存期間 (OS) や再発率 (CIR) などの副次評価項目でも群間差は見られなかった。

前向きRCTでの検証の重要性を示唆

ダサチニブの上乗せには理論的に有益性が示唆されていたものの、 第Ⅲ相試験では残念ながらpositiveな結果を示すことができなかった。 前向きの無作為化比較試験で検証することの重要性を改めて示している。

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第Ⅱ相NAMLG LD-VENEX試験

AMLへのAZA+短縮ベネトクラクス療法

強力な化学療法が困難な高齢者や合併症を有するAML患者には、 アザシチジン (AZA) +ベネトクラクス (VEN) 併用療法 (VEN/AZA) が標準治療となっている。 VEN/AZAは、 これまで治療すら難しかった症例にも投与可能であり、 移植が考慮可能な高齢者に対しても有害事象 (AE) の発現を抑えつつ、 移植に繋げられる症例も増えている。

しかし、 VEN/AZAは骨髄抑制が著しいため投与スケジュールの遵守が難しく、 治療の遅延や用量調整を要することが多い。 こうした課題を背景に、 第Ⅱ相NAMLG LD-VENEX試験ではVENの投与期間を短縮することで、 有効性を維持しつつ毒性を軽減できるかが検討された。

主要評価項目はORR

初発 (de novo)、 続発性 (secondary)、 再発・難治性 (R/R) のAML患者を対象に、 AZA 75mg/m²を1~7日目、 VEN 400mgを1~14日目に投与し、 奏効が得られた後はVENを1~7日のみの投与へと短縮した。 主要評価項目は3サイクル内での全奏効率 (ORR)、 副次評価項目には全生存期間 (OS) が含まれた。 2024年11月1日までにスクリーニングされた130例のうち119例が解析対象となった (de novo AML : 57例、 sAML : 26例、 R/R AML : 36例)

初発例のORR84%、 再発例も67%が奏効

ORRはde novo、 sAML、 R/Rでそれぞれ84%、 69%、 67%であり、 複合完全寛解率も70%、 46%、 61%と良好であった。 Grade 3以上のAEの発現は、 好中球減少 (38%)、 発熱性好中球減少 (35%)、 血小板減少 (25%) が多く、 毒性プロファイルも従来の報告と比較して軽度であった。

最適な治療戦略の検討に新たな知見

以上より、 VENの投与期間を短縮したVEN/AZAは、 従来の投与スケジュールに対して単純比較ではあるものの同等の有効性を示し、 なおかつ毒性も軽減できる可能性が示唆された。 今後の最適な治療戦略の検討において、 本研究の成果は重要な示唆を与える。

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A Harmony Alliance試験

大規模コホートを用いたAML遺伝子変異パターンの解析

HARMONY (Healthcare Alliance for Resourceful Medicines Offensive against Neoplasms in HematologY) は、 欧州を中心とした血液疾患に関する公私連携型の国際研究コンソーシアムで、 さまざまな疾患の大規模解析を報告している。 今回はAMLについての報告であった。

併存の変異パターンで多様性が層別化

本研究ではHARMONYデータベースに登録された5,000例を越える遺伝子変異データを用いて、 「ヒエラルキー・ディリクレ混合モデル (HDMM) 」 という完全教師なし分類法の開発、 そして17の遺伝子クラスターが同定された。

NPM1IDH2CEBPAなどの代表的な遺伝子変異はやはり予後予測に有用であったが、 それを基軸としつつも、 併存する遺伝子変異パターンによりAMLの多様性がさらに層別化された。 得られた分類は、 独立したUK-NCRI試験の症例でも再現され、 OSや再発率との有意な相関が示された。

AML遺伝子に関する重要な知見を提供

本研究の結果は、 AMLにおける包括的なゲノム分類の有用性と、 臨床的意義の高いサブタイプの同定につながる可能性がある。 また今回のような1つの遺伝子異常の意義のみならず、 複数の遺伝子異常の組み合わせの意義を評価するには、 本研究程度に大規模のデータベースでなければ難しいと感じた。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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