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2日前
Duclosらは、 手術目的で入院した成人患者を対象に、 周術期における有害事象の主な特徴を、 多施設後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 手術目的で入院した患者の1/3以上に有害事象が確認され、 そのうちの約半数が重大な有害事象であり、 その多くが予防可能であったことが示された。 本研究は、 BMJ誌にて発表された。
BMJに掲載されるほど結果が一般化される研究の割には、 疫学研究で患者数が1,000例というのはN数が少ない印象です。
周術期医療における有害事象は、 患者の転帰に大きな影響を及ぼす重要な課題である。 2018年には、 全入院医療において約4人に1人の割合で有害事象が認められたとの報告があるが、 外科手術に関してはより詳細な評価が必要とされていた。
米国の11施設において、 2018年に手術目的で入院した18歳以上の成人6万4,121例から無作為に抽出された1,009例について解析を行った。
訓練を受けた看護師が患者のカルテを精査して有害事象を特定し、 その後に医師が特徴、 重症度を確認し、 その予防可能性について評価を行った。
解析対象のうち、 1件以上の有害事象が発生したのは38.0% (95%CI 32.6-43.4) だった。 また、 1件以上の重大な有害事象が発生したのは15.9% (95%CI 12.7-19.0) だった。
全有害事象のうち、 59.5%は予防できた可能性があり、 20.7%は確実に、 またはおそらく予防可能であったと評価された。
有害事象の頻度や発生場所、 関与した職種を以下に示す。
頻度が高い有害事象
外科手術関連 : 49.3% (292/1,009例)
薬剤関連 : 26.6% (158/1,009例)
医療関連感染症 : 12.4% (74/1,009例)
患者ケア関連 : 11.2% (66/1,009例)
輸血関連 : 0.5% (3/1,009例)
有害事象の発生場所
一般病棟 : 48.8% (289/1,009例)
手術室 : 26.1% (155/1,009例)
集中治療室 : 13.0% (77/1,009例)
回復室 : 3.3% (20/1,009例)
救急外来 : 1.8% (11/1,009例)
その他の院内 : 7.0% (42/1,009例)
有害事象に関与した職種
主治医 : 89.5% (531/1,009例)
看護師 : 58.9% (349/1,009例)
研修医 : 49.5% (294/1,009例)
上級医 : 28.5% (169/1,009例)
フェロー : 11.5% (68/1,009例)
著者らは 「今回の研究では、 手術目的で入院した患者の1/3以上で有害事象が発生し、 そのうちの約半数が重大な事象であり、 その多くが予防可能であることが示された。 この結果は、 周術期医療の質を向上させるため、 すべての医療従事者が連携し、 患者の安全向上に取り組む必要性が高いことを示している」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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