【BMJ】手術目的の入院患者、 有害事象の半数以上が予防可能
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海外ジャーナルクラブ

2日前

【BMJ】手術目的の入院患者、 有害事象の半数以上が予防可能

【BMJ】手術目的の入院患者、 有害事象の半数以上が予防可能
Duclosらは、 手術目的で入院した成人患者を対象に、 周術期における有害事象の主な特徴を、 多施設後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 手術目的で入院した患者の1/3以上に有害事象が確認され、 そのうちの約半数が重大な有害事象であり、 その多くが予防可能であったことが示された。 本研究は、 BMJ誌にて発表された。 

📘原著論文

Safety of inpatient care in surgical settings: cohort study. BMJ. 2024 Nov 13:387:e080480. PMID: 39537329.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

BMJに掲載されるほど結果が一般化される研究の割には、 疫学研究で患者数が1,000例というのはN数が少ない印象です。


背景

周術期の手術の有害事象はデータ不足

周術期医療における有害事象は、 患者の転帰に大きな影響を及ぼす重要な課題である。 2018年には、 全入院医療において約4人に1人の割合で有害事象が認められたとの報告があるが、 外科手術に関してはより詳細な評価が必要とされていた。

研究デザイン

カルテを基に特定した有害事象の予防可能性を医師が評価

米国の11施設において、 2018年に手術目的で入院した18歳以上の成人6万4,121例から無作為に抽出された1,009例について解析を行った。

訓練を受けた看護師が患者のカルテを精査して有害事象を特定し、 その後に医師が特徴、 重症度を確認し、 その予防可能性について評価を行った。

結果

1件以上の有害事象が発生したのは38.0%

解析対象のうち、 1件以上の有害事象が発生したのは38.0% (95%CI 32.6-43.4) だった。 また、 1件以上の重大な有害事象が発生したのは15.9% (95%CI 12.7-19.0) だった。

全有害事象のうち半数以上は予防できた可能性

全有害事象のうち、 59.5%は予防できた可能性があり、 20.7%は確実に、 またはおそらく予防可能であったと評価された。

約半数は外科手術関連の有害事象

有害事象の頻度や発生場所、 関与した職種を以下に示す。

頻度が高い有害事象

外科手術関連 : 49.3% (292/1,009例)

薬剤関連 : 26.6% (158/1,009例)

医療関連感染症 : 12.4% (74/1,009例)

患者ケア関連 : 11.2% (66/1,009例)

輸血関連 : 0.5% (3/1,009例)

有害事象の発生場所

一般病棟 : 48.8% (289/1,009例)

手術室 : 26.1% (155/1,009例)

集中治療室 : 13.0% (77/1,009例)

回復室 : 3.3% (20/1,009例)

救急外来 : 1.8% (11/1,009例)

その他の院内 : 7.0% (42/1,009例)

有害事象に関与した職種

主治医 : 89.5% (531/1,009例)

看護師 : 58.9% (349/1,009例)

研修医 : 49.5% (294/1,009例)

上級医 : 28.5% (169/1,009例)

フェロー : 11.5% (68/1,009例)

結論

すべての医療従事者が連携し、 患者の安全に取り組むべき

著者らは 「今回の研究では、 手術目的で入院した患者の1/3以上で有害事象が発生し、 そのうちの約半数が重大な事象であり、 その多くが予防可能であることが示された。 この結果は、 周術期医療の質を向上させるため、 すべての医療従事者が連携し、 患者の安全向上に取り組む必要性が高いことを示している」 と述べている。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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