海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前

米・ハーバード大学公衆衛生大学院の安富元彦氏らの研究グループは、 日本の大規模レセプタデータベースであるJMDC Claims Databaseに組み込まれた妊娠コホートを用いて、 記述的研究で日本における妊娠中の薬剤使用の年次的傾向を評価するとともに、 安全性エビデンスが限定的な頻用薬剤を同定した。 その結果、 日本で妊娠中に使用される薬剤としてアセトアミノフェンが最も頻用され、 また頻用された上位30種類の薬剤のうち60%以上で催奇形性に関する安全性エビデンスが不十分であることが明らかとなった。 本研究はInt J Gynaecol Obstet誌において発表された。
本研究は保険データに基づく解析であり、 服薬実態や曝露時期の精度、 臨床情報不足および一般化可能性の制限により、 安全性評価の解釈には一定の限界があります。
バルプロ酸・ゾニサミド、 胎児期曝露で子の神経発達障害リスク上昇
日本における妊娠中の薬剤使用のパターンおよび傾向に関する最近のデータは限られている。
そこで本記述的研究では、 JMDC Claims Database (2005~19年) に組み込まれた妊娠コホートにおける計11万969件の妊娠 (9万4,749例の患者) を対象として、 妊娠前および妊娠各期における薬剤の調剤状況を評価し、 薬効分類およびその細分類ごとに年次的傾向を検討した。
また、 妊娠初期に多く調剤された上位30種類の薬剤について、 TERISデータベースを用いて催奇形性リスクに関するエビデンスの有無を評価した。
アセトアミノフェンは、 すべての期間を通じて最も多く調剤された薬剤であった。 その他に頻繁に調剤された薬剤として、 その他の鎮痛薬、 抗喘息薬、 抗菌薬、 制吐薬、 抗潰瘍薬、 免疫抑制薬、 甲状腺薬などが認められた。
年次的な傾向として、 鎮痛薬 (主にアセトアミノフェン)、 抗喘息薬 (吸入β2作動薬、 吸入コルチコステロイド、 ロイコトリエン受容体拮抗薬)、 制吐薬 (メトクロプラミド)、 および甲状腺薬 (甲状腺ホルモン) の調剤が増加していることが示された。
妊娠初期に多く調剤された上位30種類の薬剤のうち60%以上で催奇形性に関する安全性エビデンスが不十分であり、 特に抗喘息薬、 抗菌薬、 抗ウイルス薬で顕著であった。
著者らは 「日本で妊娠中に一般的に調剤される薬剤の相当数で、 催奇形性に関する安全性エビデンスが不十分であった。 また、 一部の薬剤群では研究期間中に使用の増加傾向が認められ、 日本人集団における安全性評価の必要性が浮き彫りとなった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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