HOKUTO編集部
5ヶ月前
局所進行ESCC患者の術前療法において、 DCF療法、 CF療法、 CF-RT療法を比較検討した国内第III相無作為化比較試験JCOG1109 (NExT) の結果から、 DCF療法がCF療法に対するOSの有意な改善が示され、 本邦では術前DCF療法が標準療法とされている¹⁾。 今回、 同試験の最短観察期間5年の長期成績が発表され、 DCF療法は5年時OSにおいてもCF療法に対して有意な改善効果を維持していることが示された。 国立がん研究センター中央病院頭頸部・食道内科/消化管内科長の加藤健氏が発表した。
2022年に報告された追跡期間中央値50.7ヵ月の本試験の主解析の結果から、 主要評価項目である全生存期間 (OS) 中央値は、 術前CF (シスプラチン+5-フルオロウラシル[5-FU]療法群の5.6年 (95%CI 3.9年-NE) に対し、 ドセタキセル+シスプラチン+5-FU (DCF) 療法群では未到達 (同6.7年-NE) で有意な改善が示された (HR 0.68、 95%CI 0.50-0.92、 p=0.006)。
この結果を受け、 日本食道学会は同年、 「cStage II、 III食道癌に対して手術療法を中心とした治療を行う場合、 ドセタキセル+シスプラチン+5-FU 3剤併用術前化学療法を強く推奨する (エビデンスの強さA) 」 とするガイドライン速報版を発表した²⁾。 今回は、 同試験の最短5年の長期成績データが報告された。
20~75歳で前治療歴のない切除可能な局所進行食道扁平上皮癌*患者
601例が以下の3群に1 : 1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。
主要評価項目
OS
副次評価項目
無増悪生存期間 (PFS)、 根治切除割合、 奏効割合、 病理組織学的完全奏効割合、 安全性
OS
【追跡期間中央値】
65.4ヵ月 (範囲 : 0.5-127.4ヵ月) *
【5年OS率 (95%CI) 】
vs CF群のHR 0.68 (95%CI 0.51-0.91)
p=0.004
vs CF群のHR 0.86 (0.66-1.14)、 p=0.15
PFS
【5年PFS率 (95%CI) 】
vs CF群のHR 0.69 (0.53-0.90)
vs CF群のHR 0.79 (0.61-1.03)
5年累積再発率
【局所領域再発】
【遠隔転移】
【局所領域再発および遠隔転移】
【治療関連死発現率】
以上の結果から、 加藤氏らは 「局所進行ESCCに対する術前DCF療法は、 追跡5年時においても、 術前CF療法と比較してOSにおける臨床的に有意義な改善効果を示した。 この結果は、 局所進行ESCCに対する標準治療としての術前DCF療法を支持するものである」 と報告した。
²⁾ 日本食道学会 : 【速報】JCOG1109 試験(NExT)の概要ならびに局所進行食道癌治療における術前 DCF 療法に関する日本食道学会ガイドライン委員会のコメント.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。