HOKUTO編集部
12日前

2026年9月16~18日に京都国際会議場で国際食道疾患学会 (ISDE 2026) が開催されました。 本稿では国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科の山本駿先生に、 同会における注目演題と、 発表内容から感じられた印象についてご解説いただきました。
ISDE World Congress for Esophageal Diseasesは、 国際食道疾患会議 (ISDE) が主催し、 年1回開催される国際学会である。 食道癌のみならず胃食道逆流症 (GERD) や食道裂孔ヘルニアなど、 幅広い食道疾患に関する知見が報告される。
筆者は2年前のイギリスのエジンバラで開催された際にISDEに初参加した。 昨年のオーストラリアのブリスベンに引き続き3回目の参加となった。 今年は京都で開催されたことから、 本邦の参加者も多く、 会場の雰囲気などを交えて共有する。
今年のISDEの会場は京都国際会議場であった。 多くの日本の研究者に加えて、 外国の研究者も目立ち、 各セッションで活発なディスカッションが行われていた。 会場にもISDEのいつものロゴの隣に京都をイメージしたブースが併設されていた。
個人的には時期的に残暑で蒸し暑いことを懸念していた。 開催期間中 (9月16~18日) は若干曇りがちではあったものの、 過ごしやすい気候であったのはありがたい限りであった。


ISDEでは前述の通り、 幅広い食道疾患の研究発表やディスカッションが行われる。 特に食道癌においては、 洋の東西において頻度の高い組織型が異なる。
このため、 化学療法に関する議論では、 欧米の研究者は胃癌に準じた治療開発の動向を、 本邦やアジアの研究者は扁平上皮癌の治療を中心に取り上げていた。

ただ、 どちらの組織型においても標的分子は異なるものの、 治療開発の主軸の一つは確実に抗体薬物複合体 (ADC) である。
腺癌ではCLDNやHER2を標的とした新規ADCが、 扁平上皮癌においてはB7-H3やTROP-2を標的とした新規ADCが開発中である。 近い将来、 標準治療が変わり得る可能性を秘めている。
そのような中、 ADCの周術期への展開も議論が行われている。 加速度的に進められている治療開発へのキャッチアップが求められていることを実感した。
さらに食道癌領域の最近の動向で欠かせないのが、 根治的化学放射線療法後の維持療法としてのアテゾリズマブである。 今回のISDE 2026でもSKYSCRAPER-07試験に関する発表が行われた。
SKYSCRAPER-07試験自体では統計学的解析手順のために優越性は証明できなかった。 しかし、 アテゾリズマブ単剤療法では有効性が期待できる結果が報告されたため、 現在承認申請が行われている。 アテゾリズマブが維持療法の選択肢に加われば、 治療シークエンスが変わる可能性があり、 今後の動向に注目したい。
これら薬物療法に加えて、 外科領域ではロボット手術に関する発表や、 AIを用いた手術支援技術の発表も行われていた。 集学的治療が求められる食道疾患の特徴が目立つ学会であった。
今年は日本での開催ということもあり、 本邦の研究者が数多く参加していた。 特に中堅から若手研究者も数多く参加し、 英語でのディスカッションを行う姿が非常に印象的であった。 来年はオランダのユトレヒトでの開催である。 こちらでも本邦の研究者の活躍が期待される。




2026年8月の注目論文3選 (SKYSCRAPER-07試験、 CheckMate 648の5年成績など)
▼過去のISDE治療トレンドを振り返る
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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