寄稿ライター
2年前
英語のプレゼンテーションは国内の学会でも一般的になり、 その重要度は増している。 メッセージを効果的に伝えるためにどうしたらいいのか。 近畿大特任教授の光冨徹哉先生に極意を聞いた。 連載初回のテーマは 「つかみはOK!スライドの魅せ技」。
まずお伝えしたいのは、 国際学会の発表で緊張するのは当たり前ということです。 ネイティブのエキスパートの先生も発表前には繰り返し練習しています。 特に10分とか時間がタイトな発表では尚更です。
しかし、 国際学会での発表は、 国際的に顔や名前を覚えてもらうチャンスと考えて、「日本を背負っている」 という気概を持って臨んでほしいと思います。
学会発表において研究そのものが重要なのは当然ですが、 しゃべり方や間のとり方、 スライドの工夫などで効果的に聴衆を引きつけることも大切です。 ここでは、 私の経験で得たスライド作成のコツをご紹介します。
スライドは発表時間 (分) の1~1.5倍を目安にしましょう ( 例 : 10分の発表なら10~15枚)。よっぽど早口で英語を話せるnative以外は、 2倍にするとかなり厳しくなると思います。 時間超過は絶対のタブーと考え、 内容と英語の実力を考慮したスライドの枚数を設定してください。
1枚あたりの文字数は10〜15行を上限とし、 1枚ごとに必ずタイトルを入れます。 写真や図を配置して見やすさを心がけ、 最後にはサマリー (Take home message) を加えましょう。
我々医師にとって、 余白の多い資料の作成は抵抗感がありますが、 可能な限りシンプルなデザインが大切です。 会場の一番後ろの席に合わせ、
・大きな文字を使う
・ごちゃごちゃした画面を避ける
ことを意識すると洗練されたスライドになります。
スライドは多くの人がPowerPointで作成していますが、 発表ではレーザーポインターの代わりに、 アニメーションを使って説明をしましょう。 レーザーポインターは画面を見るため横を向く必要があり、 聴衆とアイコンタクトができなくなります。
最近はvirtualやhybridの発表が増え、 レーザーポインターを使う機会は減りました。 その場合、 PowerPointのカーソルを使うのは選択肢ですが、 それでも画面を見つめる必要から下向きになってアイコンタクトが出来ないという欠点は残ります。
また、 すべての内容を初めから表示していると、 聴衆は先読みをしてしまいます。 「アピール」 や 「ワイプ」 などの機能を使って、 話している内容と表示を合わせることで、 聴衆の注意を引きつけやすくなります。
「カーテン」 や 「折り紙」 といった画面切り替え機能も効果的で、 実際に聴衆がどよめいたこともありました。 ただ、 使いすぎると嫌みなので、ストーリー上の大きな切れ目での活用がおすすめです。
「変形 (Morph transition)」 も試してみたいアニメーションの一つです。 作成自体は簡単にできますが、 その効果は大きいです。
まとめスライドは、 文章より箇条書きの方が見やすいです。 一方、 発表者がそのままスライドを読んでしまうようなプレゼンテーションは最悪です。
スライドは箇条書きとして、 スピーチで補っていくスタイルがよいと思います。 ただ、 時々そのまま読めばいいようなスライドを挟んでおくと箸休めになって安堵できるのもよいかと思います。
英語プレゼンでは、 スライドの工夫が聴衆を引きつける鍵となります。 シンプルなデザインや効果的なアニメーションを活用して、 インパクトのあるプレゼンを行いましょう。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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