『KIWI』設立のねらいを小林拓氏に聞く
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HOKUTO編集部

2年前

『KIWI』設立のねらいを小林拓氏に聞く

『KIWI』設立のねらいを小林拓氏に聞く
近年、 免疫学的研究の急速な進歩とともに、 IBD(炎症性腸疾患)の内科的治療の進展が著しい。 このIBDに関わる注目トピックスについての教育的なコンテンツをオンラインでライブ配信するウェビナーであるKIWI (Kitasato Institute Webinars on IBD) の活動が最近注目されている。 KIWI設立の取り組みの詳細について、 活動を主導する北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター長の小林拓氏に聞いた。

高まる規制強化を背景に、 中立的かつ本音で語る場を自ら企画

―KIWI設立の趣旨および設立までの経緯は。

従来の国内での医学教育の機会の提供は、 製薬企業に依存していた感があった。 ただその中でも、 企業側の商業的要素が少ない場もあったからこそ、 われわれ医療従事者も勉強できた面があったわけだが、 ここ数年は医薬品情報を巡る規制が強化され、 例えば新薬の承認前の最新情報の提供や他社の製品との比較など本当に知りたい情報を得ることができなくなっている。

このように医師・医療従事者として、 患者第一の情報を入手して臨床に活かすに当たってのハードルが高くなっているという背景を踏まえて、 外部資金を競合的資金というかたちで集めることで、 製薬企業の会のような制約が適用されない中立的なかたちで、 医療従事者による医療従事者のための真に教育的なウェブ講演会を自分たちでも企画できるのではと考えたのが大きな動機だった。 また、 コロナ禍でウェブ講演会の開催が増えてきたという時代的な流れも後押しとなった。

さらに、 単なるウェブ講演ではつまらない、 よそいきのレクチャーだけしているようでは本音が伝わらないということで、 「本年で語る」ということももうひとつの大事なテーマとして掲げながら世界でここにしかないウェビナーを目指すことにした、 というのがKIWI設立の経緯になる。

実はこの設立におけるユニークな趣旨が、 KIWIの根幹となっていると考えている。

すべての医療従事者が対象、 「流行語大賞」の企画も

―テーマやゲストの選定においてのこだわりは?

KIWIでは、 IBD専門医だけでなく看護師、 薬剤師など、 すべての医療従事者を対象にすることをモットーとしている。 テーマによっては医師向けに偏ってしまうこともあるが、 例えば新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に関するタイムリーな話題も取り上げるなど、 テーマの選定の段階でも専門医以外の看護師や若手医師の視点もできるだけ取り入れるようにしている。

またゲストについては、 どうしても独断と偏見で決定している部分があるのは否めないが、 何より‘本音で語る’ことを大事に、 お互いに腹を割って話してもらえるという点も重視して選定させていただいている。

―KIWIとして、 今後新たに取り組みたいことは。

今後取り組みたいことはいろいろあるが、 まずは次回のウェビナーでは「流行語大賞」をテーマに、 これまでのIBD治療・診断の進歩の変遷を振り返りながらIBD談義ができればと考えている。

他にも、 リウマチなどIBDと関連が深いIBD以外の領域の専門医や国外の医師をゲストに迎える企画も検討している。

さらに最近のIBD治療の選択肢が増えたことを踏まえて、 患者との共同意思決定 (Shared Decision Making;SDM) について、 患者役を設定してロール・プレイングで学ぶようなユニークな企画にも挑戦できたらと考えている。

IBD患者の個別化医療が重要課題

―最近のIBD領域の進歩において、 特に注目しているトピックスは。

やはりIBD治療において新薬の開発が急速に促進していることが第一に挙げられる。 前述のSDMについても、 裏を返せば、 医学的に患者にとってベストな治療薬をシンプルに選択できないという課題があるからこそ、 SDMが必要になるというのが現実である。

そのため、 現在の最も重要なトピックかつ課題は、 個々のIBD患者にとってベストな治療を予測できるための個別化医療といえるだろう。 私自身も研究に取り組んでいるテーマの1つだ。 バイオマーカーの開発に加えて、 人口知能 (AI) を用いた診療支援なども必要になってくると考えている。

―最後に、 HOKUTO会員にメッセージをお願いします。

非常に進歩も著しいIBD領域だが、 同時に患者も激増しており、 我々が取り組まなければならない課題もさらに増えることを想定しています。 KIWIの企画は、 皆さんと作り上げあていく企画だと思っているので、 視聴していただき、 一緒に本音で患者のために何ができるかを語り合えたらと思います。

皆さんと一緒にIBD患者の幸せにつながるような活動を続けられればと思っていますので、 ぜひ一度視聴してみてください。


次回KIWIのお知らせ

開催日時

2023年6月13日 (火) 19:00〜

テーマ

"IBD流行語大賞”

ホスト

小林 拓先生 (北⾥⼤学北⾥研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター)

ゲスト

長沼 誠先生 (関西医科大学)

秋山慎太郎先生 (筑波大学)

公式サイト

詳細はKIWI公式サイト

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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