irAEガイド
2年前
今注目の免疫関連有害事象について各専門医の方々に解説いただきます。 さらなる機能改善のため、内容についてご要望がございましたらぜひコメント下さい。 それでは、第4回インフュージョンリアクションを御覧下さい。
IRRは薬物または生物学的製剤の輸液中に生じる有害反応のことである。 ほとんどがGrade 1~2の軽症例にとどまるが、 稀にGrade 3以上の重症例も報告されている。
微熱、 悪寒、 頭痛、 悪心が認められる。
頻脈、 血圧不安定、 低酸素血症、 胸痛、 咳嗽、 息切れ、 喘鳴、 顔面紅潮、 発汗、 蕁麻疹、 皮膚掻痒、 気管支攣縮、 呼吸困難、 血管性浮腫 (口唇や眼瞼)、 意識障害、 失神などが認められる。
免疫チェックポイント阻害薬に関連するIRRの頻度は1~4%程度と報告されている。
・ 悪性黒色腫へのニボルマブ:2~4%¹⁾²⁾
・ 非小細胞肺癌へのニボルマブ:1~3%³⁾⁴⁾
・ アベルマブ:約25%(≧Grade3は<1%)⁵⁾
・ イピリムマブ:<1%⁶⁾
⏰ 初回投与後 : 30分以内の発現が最も多い
⏰ 2回目~ : 頻度・重症度が低下することが多い
症状は一過性であり治療の中断を要さない。
ただちに投与中断し、 Grade 1以下へ症状が改善した場合、 投与速度を50%減速し再開。
症状に応じて、 補液、 抗ヒスタミン薬、 解熱鎮痛薬、 全身性ステロイドの投与を行う。
ただちに投与を中止。
症状に応じて、 酸素吸入、 アドレナリン、 全身性ステロイド、 気管支拡張薬、 昇圧剤などが必要となる場合もある。
※Grade3以下の場合
Grade1以下に症状が改善すれば、 投与の再開を検討するが、 その場合は次回投与時から予防的に解熱鎮痛薬 (アセトアミノフェン) や抗ヒスタミン薬 (ジフェンヒドラミン) を併用することを考慮する。
アベルマブ投与時の注意
アベルマブでは、 IRRの発症率が高くほとんどが4回目までの投与で発症することが報告されているため、 4回目まではIRR対策の前処置薬として抗ヒスタミン剤と解熱鎮痛剤の投与を行う⁶⁾。
バイタルサイン、 身体所見、 SpO₂、 胸痛や持続的頻脈がある場合は心電図検査 (モニター管理) を追加。
Grade 3以下で、 症状改善なら再開を検討
Grade 4の場合は永続的に中止
最終更新:2023年2月1日
監修医師:
公益財団法人がん研究会 有明病院先端医療開発科 宮脇英里子先生
公益財団法人がん研究会 有明病院先端医療開発科部長 北野滋久先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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