HOKUTO編集部
23日前
高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) またはミスマッチ修復機構欠損 (dMMR)の未治療進行大腸癌(mCRC)に対する抗PD-1抗体ニボルマブ (NIVO) +抗CTLA-4抗体イピリムマブ (IPI) 併用療法の有効性について、 ニボルマブ単剤療法を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験CheckMate 8HWの結果から、PFSの有意な改善が示された。 フランス・Sorbonne UniversiteのThierry Andre氏が発表した。 同結果の詳細はLancet 2025年1月25日オンライン版¹⁾に同時掲載された。
昨年の米国臨床腫瘍学会 (ASCO 2024) における同試験の前回の報告では、 MSI-H/dMMR mCRCの1次治療において、 NIVO+IPI併用療法は化学療法に対し無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善した※。
今回は、 もう1つの主要評価項目である、 全治療ラインにおけるNIVO+IPI併用療法とNIVO単独療法のPFSを比較した解析結果が初めて報告された。
免疫療法歴のないMSI-H/dMMRのmCRC患者839例が以下の3群に2 : 2 : 1で割り付けられた。 治療の継続は病勢進行 (PD)、 許容できない毒性の出現、 同意の撤回を認めるまで、 またNIVO+IPI群およびNIVO群に限り最長で2年間継続された。
主要評価項目は、 ①盲検下独立中央評価委員会 (BICR) の評価による1次治療におけるNIVO+IPI併用療法 vs 化学療法の無増悪生存期間 (PFS)、 ②BICR評価による全治療ラインにおけるNIVO+IPI併用療法 vs NIVO単剤療法のPFSで、 今回は後者の結果が報告された。
副次的評価項目は、 安全性、 BICR評価による客観的奏効率 (ORR)、 健康関連QOLなどであった。
年齢中央値、 性別、 初診時のステージ、 転移部位などの患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。 中央判定でMSI-H/dMMRが確認された患者割合は、 NIVO+IPI群84%、 NIVO群81%であった。
追跡期間中央値47.0ヵ月(範囲16.7-60.5ヵ月)、 2024年8月28日のデータカットオフ時点での治療完了割合は、 NIVO+IPI群45%、 NIVO群39%で、 治療期間中央値はそれぞれ20.5ヵ月 / 16.4ヵ月だった。
全治療ラインにおけるPFS中央値は、 NIVO群の39.3ヵ月 (95%CI 22.1ヵ月-NE)に比べてNIVO+IPI群がNR (同 53.8ヵ月-NE) で有意な改善を示した (HR 0.62 [同 0.48-0.81]、 p=0.0003) 。 36ヵ月時PFS率は、 NIVO+IPI群68%、 NIVO群51%であった。
またPFSサブグループ解析では、 事前に規定された全てのサブグループにおいて、NIVO+IPI群のNIVO群に対する優位性が一貫して認められた。
ORRは、 NIVO+IPI群 71%(95%CI 65-76%)、 NIVO群 58% (同 52-64%) であり、 NIVO+IPI群で有意に良好な結果であった (p=0.0011)。
奏効に至るまでの期間 (TTR) 中央値は両群とも2.8ヵ月で、 奏効期間中央値 (DOR) は両群ともNRであった。
EORTC QLQ-C30に基づく健康関連QOLは両群ともベースラインから一貫して改善傾向を示し、 特にNIVO+IPI群では21週目から意義のある変化の閾値に達した。
データカットオフ時点での治療中止割合は、 NIVO+IPI群 49%、 NIVO群 57%であり、 主な中止の原因はPD (23% / 39%)、 治療関連有害事象(TRAE : 14% / 8%)であった。
Grade3/4のTRAE発現率は、 それぞれ22%、 14%だった。 また重篤なAEはそれぞれ18%、 8%で報告された。
主な免疫介在性AEは、 甲状腺機能低下症/甲状腺炎 (18% / 9%)、 甲状腺機能亢進症 (12% / 5%)、 副腎機能不全 (10% / 3%) であった。
Andre氏は 「MSI-H/dMMRを有する切除不能なmCRCにおいて、 NIVO+IPI併用療法は、 全治療ラインにおいてNIVO単独療法と比べPFSを改善し、 安全性プロファイルは管理可能であった。 1次治療においてNIVO+IPI併用療法が化学療法に比べPFSを改善した前回の報告結果と併せ、 NIVO+IPI併用療法がMSI-H/dMMRのmCRCに対する新たな標準治療となる可能性を示唆している」 と報告した。
¹⁾ Lancet. 2025 Jan 23:S0140-6736(24)02848-4. Epub ahead of print.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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