【JAMA Intern Med】2型糖尿病のSGLT2阻害薬による心血管イベント予防効果を比較
著者

海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【JAMA Intern Med】2型糖尿病のSGLT2阻害薬による心血管イベント予防効果を比較

【JAMA Intern Med】2型糖尿病のSGLT2阻害薬による心血管イベント予防効果を比較
Shinらは、 2型糖尿病患者を対象に、 SGLT2阻害薬の心血管イベントおよび安全性への影響を比較するためtarget trial emulationを用いた比較効果研究を実施した。 その結果、 カナグリフロジン (CA) およびダパグリフロジン (DGZ) は、 エンパグリフロジン (EMPA) と同等の心血管イベント予防効果を示したが、 低用量のDGZでは心不全による入院予防効果が低下することが明らかになった。 本研究はJAMA Intern Med誌にて発表された。 

📘原著論文

Comparative Effectiveness of Individual Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitors. JAMA Intern Med. 2025 Jan 21. Online ahead of print. PMID: 39836397.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

効果は同等ですので、 安全性という意味では 「EMPAと比較するとCAで尿路感染症リスクが高く、 DGZでDKAリスクが低い傾向」 ということが重要となります。

🔢関連コンテンツ

カナグル錠100mg / OD錠100mg 

カナグリフロジン

フォシーガ錠5mg / 10mg 

ダパグリフロジン

ジャディアンス錠10mg / 25mg 

エンパグリフロジン

背景

心血管イベントに対するSGLT2阻害薬の相対的有効性・安全性は不明

SGLT2阻害薬の心血管イベントへの有効性および安全性に関する既知のエビデンスは、 主にプラセボ対照試験によるものである。 個々の薬剤の相対的な有効性および安全性は、 依然として不明である。

そこで本研究では、 個々のSGLT2阻害薬の心血管イベントおよび安全性の転帰を比較し、 投与量やCVD既往による有効性の違いを評価した。

研究デザイン

心血管イベントや心不全による入院などを評価

2014年8月~2020年6月における米国の3つの請求データベースより、 過去1年間にSGLT2阻害薬投与歴がなく、 初めてCA、 DGZ、 またはEMPAを投与された2型糖尿病患者を抽出した。

  • CA群   : 23万2,890例
  • DGZ群   : 12万9,881例
  • EMPA群 : 29万5,043例

主に以下の評価項目についてCA群またはDGZ群とEMPA群を比較し、 投与量や心血管疾患 (CVD) 既往による有効性の相違を評価した。

  • 複合アウトカム
心筋梗塞 (MI) / 脳卒中
  • 心不全による入院、 MI、 脳卒中、 全死亡
  • 安全性アウトカム
糖尿病性ケトアシドーシス (DKA)、 下肢切断、 骨折、 重症尿路感染症、 性器感染症

傾向スコアマッチングウエイトを用いて重み付けをし、 交絡因子を調整した。 結果のHRと95%CIは、 重み付けCox比例ハザードモデルを用いて推定された。 なお、 追跡期間は最長8年であった。

結果

心血管イベント予防効果は3剤で同等も、 低用量DGZで心不全による入院リスク増

CA群またはDGZ群は、 EMPA群と比較してベースライン時に糖尿病関連疾患またはCVDの既往が少ない傾向にあった。

MI / 脳卒中リスクは、 CA群とDGZ群のいずれもEMPA群と同等であった。

  • CA群   : HR 0.98 (95%CI 0.91-1.05)
  • DGZ群 : HR 0.95 (95%CI 0.89-1.03)

また、 心不全による入院リスクは、 DGZ群がEMPA群と比べて高く、 特に低用量 (5mg) で顕著であった。

  • DGZ群 : HR 1.19 (95%CI 1.02-1.39)
  • 低用量群 : HR 1.30 (95%CI 1.12-1.50)

これらの所見は、 CVD既往歴有無別のサブグループ解析結果において一貫していた。

CAで尿路感染症リスクが高く、 DGZでDKAリスクが低い傾向

CA群は、 EMPA群と比べて性器感染症のリスクが低かった一方、 重症尿路感染症のリスクが高かった。

  • 性器感染症 : HR 0.94 (95%CI 0.91-0.97)
  • 重症尿路感染症 : HR 1.13 (95%CI 1.03-1.24)

DGZ群は、 EMPA群と比べて性器感染症およびDKAのリスクが低かった。

  • 性器感染症 : HR 0.92 (95%CI 0.89-0.95)
  • DKA    : HR 0.78 (95%CI 0.68-0.90)

結論

心血管イベント予防のため、 最適な用量のSGLT2阻害薬投与を支持

著者らは 「CAおよびDGZは、 EMPAと同等の心血管イベント予防効果を示したが、 低用量のDGZでは心不全による入院予防効果が低下した。 本試験の結果は、 心不全リスクの高い患者において、 心血管イベント予防のために、 最適な用量のSGLT-2阻害薬を投与することを支持するものである」 と報告している。

ポストのGif画像
【JAMA Intern Med】2型糖尿病のSGLT2阻害薬による心血管イベント予防効果を比較の全コンテンツは、医師会員限定でアプリからご利用いただけます*。
*一部のコンテンツは非医師会員もご利用いただけます
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
【JAMA Intern Med】2型糖尿病のSGLT2阻害薬による心血管イベント予防効果を比較