海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Shinらは、 2型糖尿病患者を対象に、 SGLT2阻害薬の心血管イベントおよび安全性への影響を比較するためtarget trial emulationを用いた比較効果研究を実施した。 その結果、 カナグリフロジン (CA) およびダパグリフロジン (DGZ) は、 エンパグリフロジン (EMPA) と同等の心血管イベント予防効果を示したが、 低用量のDGZでは心不全による入院予防効果が低下することが明らかになった。 本研究はJAMA Intern Med誌にて発表された。
効果は同等ですので、 安全性という意味では 「EMPAと比較するとCAで尿路感染症リスクが高く、 DGZでDKAリスクが低い傾向」 ということが重要となります。
SGLT2阻害薬の心血管イベントへの有効性および安全性に関する既知のエビデンスは、 主にプラセボ対照試験によるものである。 個々の薬剤の相対的な有効性および安全性は、 依然として不明である。
そこで本研究では、 個々のSGLT2阻害薬の心血管イベントおよび安全性の転帰を比較し、 投与量やCVD既往による有効性の違いを評価した。
2014年8月~2020年6月における米国の3つの請求データベースより、 過去1年間にSGLT2阻害薬投与歴がなく、 初めてCA、 DGZ、 またはEMPAを投与された2型糖尿病患者を抽出した。
主に以下の評価項目についてCA群またはDGZ群とEMPA群を比較し、 投与量や心血管疾患 (CVD) 既往による有効性の相違を評価した。
傾向スコアマッチングウエイトを用いて重み付けをし、 交絡因子を調整した。 結果のHRと95%CIは、 重み付けCox比例ハザードモデルを用いて推定された。 なお、 追跡期間は最長8年であった。
CA群またはDGZ群は、 EMPA群と比較してベースライン時に糖尿病関連疾患またはCVDの既往が少ない傾向にあった。
MI / 脳卒中リスクは、 CA群とDGZ群のいずれもEMPA群と同等であった。
また、 心不全による入院リスクは、 DGZ群がEMPA群と比べて高く、 特に低用量 (5mg) で顕著であった。
これらの所見は、 CVD既往歴有無別のサブグループ解析結果において一貫していた。
CA群は、 EMPA群と比べて性器感染症のリスクが低かった一方、 重症尿路感染症のリスクが高かった。
DGZ群は、 EMPA群と比べて性器感染症およびDKAのリスクが低かった。
著者らは 「CAおよびDGZは、 EMPAと同等の心血管イベント予防効果を示したが、 低用量のDGZでは心不全による入院予防効果が低下した。 本試験の結果は、 心不全リスクの高い患者において、 心血管イベント予防のために、 最適な用量のSGLT-2阻害薬を投与することを支持するものである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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