SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(前編)
著者

HOKUTO編集部

11ヶ月前

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(前編)

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(前編)

2023年5月31日~6月3日に開催された欧州リウマチ学会 (EULAR 2023) の Recommendationセッションでは、 2019年に公表されたSLEのマネジメントに関する推奨がupdateされ、 Dimitrios T。 Boumapas氏が変更点を解説した。 今回、 早期診断の重要性およびEULAR 全身性エリテマトーデス推奨2023年版の変更点に関する要点をまとめた。

注意点として、 図表に関してはセッション内容に基づいて作成したものであり、 詳細に関しては今後の2023 update of the EULAR recommendations の出版が待たれる。 

早期診断の重要性

セッションの冒頭では、 SLEの早期診断の重要性に触れ、 臨床医の診断からSLE分類までの期間が3カ月を要しており、 また新規発症の5例中1例が入院を必要している現状について触れた。 さらに約20%の患者で診断まで3カ月以上かかっていることを踏まえ、 早期診断の一助としてSLE Risk Probability index (SLERPI) が役立つ可能性があることを述べた (Ann Rheum Dis 2021; 80: 758-766)。

EULAR 全身性エリテマトーデス(SLE) 推奨2023年版の主な変更点

今回のセッションで演者が特に取り上げた項目は以下の通りである。

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(前編)

2019年と変わらず、 HCQが第一選択薬であることには変更はない。 またHCQ使用に関する再燃や網膜毒性のリスクにはまだ多くの議論がある。 血中濃度モニタリング(TDM)に関しても、 治療のアドヒアランスを確保するためのものとして、 可能であれば血中濃度モニタリングを推奨した。

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(前編)
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下記はSLEの新規発症および再発時の両方の場合で推奨される。 PSLの使用に関しては、 ブリッジング療法としての使用は短期間に限り、 また3カ月以上の慢性ステロイド使用は控えるべきであることには変更はない。 mPSLのパルス療法に関しては、 効果を維持しながら毒性を軽減することを目的として、 高用量ではなく中等量の使用を推奨している。

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(前編)
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重要な点としてはステロイド投与量を減らすために、 初期に必ずDMARDsや免疫抑制剤を使用する必要はなく、 生物学的製剤も検討するなど、 柔軟に対応すべきである。

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生命を脅かす重篤なSLE患者におけるシクロホスファミド使用の重要性が改めて強調された。

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活動性皮膚病変の指標であるCLASIのデータでは、 生物学的製剤としてはアニフロルマブの方が少し良い結果が得られている。

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免疫性血小板減少症に対するMMF効果の研究報告が考慮された (N Engl J Med 2021; 385: 885-895)。 急性期治療の薬剤は変わらないが、 維持療法ではMMFやシクロスポリンで良い結果が報告されている。 

急性期治療
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維持療法
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(後編に続く)

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解説医師:小森 宏太郎先生

亀田総合病院
リウマチ膠原病アレルギー内科

こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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