MDアンダーソンがんセンター感染症科 松尾貴公
1年前
Characteristics and outcomes of culture-negative prosthetic joint infections from the Prosthetic Joint Infection in Australia and New Zealand Observational (PIANO) cohort study

研究デザイン
前向き、 多施設観察研究。
対象
2014年~2017年に、 オーストラリアとニュージーランドの27施設で診断された人工関節感染症患者。
主な評価項目
治療成功率*¹およびCN感染症患者の診断基準適合率*²
CN感染症患者は女性・肩関節感染が多い傾向
合計783例 (膝関節 : 427例、 股関節 : 323例、 肩関節 : 25例) のうち、 24ヵ月の追跡データが利用可能な650例 (CN群 55例、 CP群 595例) が解析の対象となった。
CN群55例 (8.5%) のうち、 女性は58.2% (CP群 41.2%)、 肩関節感染は9.1% (CP群 2.7%)、 CRP平均値は116 mg/L (CP群 175.5 mg/L)であった。
感染タイプは急性後期感染が最多
CN感染症のタイプは急性後期感染が最も多く (38.2%)、 早期術後感染 (29.1%)、 慢性感染 (21.8%) と続き、 CN感染症とCP感染症の間で感染タイプに有意差は見られなかった。
2014年版IDSA基準には100%適合
診断基準に適合した割合は、 2014年版IDSA基準100%、 2018年版ICM基準63.6%、 2021年版EBJIS基準80%であった。
手術はDAIRが一般的
CN群では、 最も一般的な手術戦略はDAIR* (30例、 54.6%)、 次いで二段階置換術 (13例、 23.6%) であった。
CN感染症は治療成功率が高い傾向
全体として、 CN人工関節感染症はCP感染症と比較して治療成功率が高い傾向があった (CN群 : 74.5%、 CP群 : 51.8%、 p=0.001)。

CN人工関節感染は、 静注および内服治療の選択において起因菌に応じた適切な抗菌薬選択ができないことから、 臨床的に頭を悩ませる感染症の1つです。
培養陰性となる原因として、 「培養不可能な偏性細菌による感染」 「培養採取前の抗菌薬投与による培養の偽陰性」 「そもそも感染ではない」 などが挙げられますが、 特に肩関節において培養陰性となることが多いことが示されました。
これは、 肩関節人工関節感染症における主要な起因菌であるCutibacterium acnesなどの培養に、 時間を要する細菌が関連している可能性があります。
関節穿刺あるいは手術による組織検体を最長14日まで培養期間を延長する施設が多いですが、 他の通常の組織検体と同様に5~7日のみの培養期間では同定を逃してしまう可能性が示唆されています。
また、 「検体採取前の抗菌薬投与」 は最も大きな培養陰性の原因です。 状態が安定していれば、 可能な限り抗菌薬開始前の培養採取が推奨されます。
近年、 16S rRNAや次世代シーケンシング (NGS) による人工関節感染の診断の報告も増加しており¹⁾、 今後のCN人工関節感染に対する診断率の向上が期待されます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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