Baileyらは、 侵襲的機械換気を受けているICU成人患者750名を対象に、 早期の強化運動療法の効果を検討 (TEAM試験)。 その結果、 通常レベルの運動療法と比較して、 患者の院外生存日数を有意に増加させることはなかった。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
📘原著論文
Early Active Mobilization during Mechanical Ventilation in the ICU. N Engl J Med. 2022 Nov 10;387(19):1747-1758.PMID: 36286256
👨⚕️HOKUTO監修医コメント
本研究は、 早期リハビリテーションの”dose”の違いによるRCTですので、 早期リハビリテーションが否定されたことにはなりません。
背景
ICUで、 人工呼吸器管理を受けている患者にはしばしばICU-AWが生じる。 早期の強化運動療法は、 ICU-AWを軽減し、 生存率を高め、 障害を軽減する可能性がある。
研究デザイン
- 対象:人工呼吸器管理を行っているICUの成人患者750名
- 患者を以下の2群に無作為に割り付けた。
- 早期強化運動療法群:最低限の鎮静+1日1回の理学療法
- 通常ケア群:各ICUで通常行われているレベルの運動療法
- 主要評価項目:無作為化後180日の時点の院外生存日数。
研究結果|有効性評価
院外生存日数の中央値に有意差なし
- 早期強化運動療法:143日 (IQR:21-161)
- 通常ケア群:145日 (IQR:51-164)
絶対差:-2.0日、 95%CI -10.6、 P=0.62
アクティブ・モビライゼーションの1日の平均時間 (±SD)
- 早期強化運動療法:20.8±14.6分
- 通常ケア群:8.8±9.0分
差:12.0分、 95%CI 10.4-13.6
患者の合計77%が起立、有意に早期強化運動療法群の方が早い
- 早期強化運動療法:中央値3日
- 通常ケア群:中央値5日
差:-2日、 95% CI -3.4--0.6
180日目までの死亡に有意差なし
- 早期強化運動療法:22.5%
- 通常ケア群:19.5%
OR:1.15、 95% CI、 0.81-1.65
研究結果|安全性評価
- 重篤な有害事象は、 早期強化運動療法群の7名と通常ケア群の1名で報告された。
- 移動に起因すると思われる有害事象 (不整脈、 血圧変化、 脱血) は早期運動療法群の方が多かった (P=0.005)
- 早期運動療法:9.2% (371名中34名)
- 通常ケア群:4.1% (370名中15名)
結論
ICUで人工呼吸器管理を受けている成人患者において、 早期の強化運動療法の増加は、 通常レベルの運動療法と比較して、 患者の院外生存日数を有意に増加させることはなかった。 また、 この介入は有害事象の増加と関連していた。