【NEJM】骨折患者の血栓予防、 アスピリンが低分子ヘパリンに非劣性
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【NEJM】骨折患者の血栓予防、 アスピリンが低分子ヘパリンに非劣性

【NEJM】骨折患者の血栓予防、 アスピリンが低分子ヘパリンに非劣性
O'Tooleらは、 骨折患者の血栓予防における低分子ヘパリンとアスピリンの有効性を実用的多施設共同無作為化非劣性試験で検討。 その結果、 手術歴のある四肢骨折や骨盤・寛骨臼骨折の患者において、 アスピリンによる血栓予防は、 死亡予防において低分子ヘパリンに非劣性であり、 深部静脈血栓症の発症率、 90日死亡率なども低いことが示された。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Aspirin or Low-Molecular-Weight Heparin for Thromboprophylaxis after a Fracture. N Engl J Med. 2023 Jan 19;388(3):203-213. PMID: 36652352

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

画期的な研究成果です。 日本の薬価で約70倍の差があります。 今後外傷後のDVT予防はアスピリンの選択がガイドラインにも明記されることになるでしょう。

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背景

骨折患者の血栓予防には低分子ヘパリンが推奨されているが、 アスピリンと比較した有効性に関する臨床試験は不足している。

研究方法

対象

手術による治療を受けた四肢 (股関節から中足、 肩から手首まで) の骨折を有する18歳以上の患者、 あるいは骨盤または寛骨臼の骨折を有する患者。

介入

患者は以下の群に無作為に割り付けられた。

  • アスピリン群:6101名 (アスピリン81mgを1日2回投与)
  • 低分子ヘパリン群:6110名 (低分子ヘパリン (エノキサパリン) 30mgを1日2回投与する群)
退院後は、 各病院の臨床プロトコールに従って血栓予防薬を継続投与。

主要評価項目

90 日時点の全死因死亡。

副次評価項目

非致死的肺塞栓症、 深部静脈血栓症、 出血性合併症。

研究結果

全死因死亡

  • アスピリン群:0.78%(47例)
  • 低分子ヘパリン群:0.73%(45 例)
差:0.05%ポイント;96.2%CI - 0.27-0.38;P<0.001、 非劣性マージン 0.75%ポイント

深部静脈血栓症

  • アスピリン群:2.51%
  • 低分子ヘパリン群:1.71%
差:0.80%ポイント、 95%CI 0.28-1.31

肺塞栓症

  • 各群ともに1.49%

出血性合併症、 その他の重篤な有害事象

出血性合併症、 その他の重篤な有害事象の発生率は両群でほぼ同じであった。

結論

手術歴のある四肢骨折や骨盤・寛骨臼骨折の患者において、 アスピリンによる血栓予防は、 死亡予防において低分子ヘパリンに非劣性である。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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