海外ジャーナルクラブ
1年前
Garo-Pascualらは、 スーパーエイジャー*の高齢者と、 年齢相応に認知機能が低下している高齢者を対象に、 脳の構造と臨床的要因、 ライフスタイルなどをコホート研究で比較。 その結果、 スーパーエイジャーは灰白質容積が大きく、 特に内側側頭葉の萎縮が緩やかであったことが確認された。 本研究はLancet Healthy Longevity誌において発表された。
2群間で血中バイオマーカー濃度が類似していることからも、 やはり血液脳関門(BBB)があるため血中で捉えにくいのが現状です。 脳の状態を非侵襲的に、 しかしながらほぼ直接的に捉えることができるモニタリングが求められています。
通常、 認知能力、 特に記憶力は加齢とともに低下する。 しかし、 しばしばスーパーエイジャーと呼ばれる人の中には、 30歳若い年代の認知機能を持ったまま晩年を迎えることがある。
スペインの地域住民を対象に単一施設で行われた縦断コホート研究Vallecas Projectから選ばれた、 認知的に健康な79.5歳以上の参加者
スーパーエイジャーは、 内側側頭葉、 コリン作動性前脳、 運動視床において、 灰白質容積が大きかった。
スーパーエイジャーは、 典型的な高齢者よりも、 特に内側側頭葉の灰白質の萎縮が緩やかであった。
89の人口統計学的、 生活習慣的、 臨床的予測因子を含む機械学習による分類では、 運動頻度に群間差がないにもかかわらず、 速く運動でき、 精神的健康が良好であることが、 スーパーエイジャーを最も区別する因子であることが示された。
スーパーエイジャー群と典型的高齢者群の認知症血中バイオマーカー濃度が類似していることから、 群間差は典型的な加齢に伴う記憶喪失に対するスーパーエイジャー固有の抵抗力を反映していることが示唆された。
認知症予防に関連する因子は、 加齢に伴う記憶力低下や脳萎縮に対する抵抗力にも関連しており、 スーパーエイジングと運動速度との関連は、 90歳まで記憶機能を維持する方法に関する新たな知見を示唆する可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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