海外ジャーナルクラブ
7日前
Liらは、 乳癌と肺癌の双方向の因果関係について、 メンデルランダム化解析を用いて検討した。 その結果、 乳癌が2次肺腺癌のリスク上昇と関係がある可能性が示唆された。 本研究はSci Rep誌に掲載された。
喫煙のデータが欠如していることや、 本研究からは肺がんリスク増加のメカニズムが検討できないことがlimitationとなります。
乳癌の生存者は、 2次原発癌 (SPC) の発症リスクが高く、 その中でも肺癌が一般的なSPCとされている。 本研究では、 メンデルランダム化解析により、 この2つの癌の関連性を調査した。
乳癌についてはBreast Cancer Association Consortium (BCAC) のゲノムワイド関連解析 (GWAS) データ (22万8,951例)、 肺癌についてはTransdisciplinary Research in Cancer of the Lung (TRICL) のGWAS関連研究の要約統計データ (11万2,781例) が解析対象となった。
解析は逆分散加重 (IVW) 法のほか、 MR-RAPS法、 MR-Egger法などを用いて行われた。
IVW法およびMR-RAPS法による解析の結果、乳癌が肺腺癌のリスクを有意に増加させることが示唆された。
IVW法
OR 1.060、 95%CI 1.008-1.116、 p= 0.024
MR-RAPS法
OR 1.059、 95%CI 1.005-1.116、 p= 0.033
一方、 「肺腺癌が乳癌に因果関係を持つ」 という明確な証拠は確認されなかった。
著者らは 「本研究の結果、 乳癌が肺腺癌と因果関係があることが明らかとなった。 この結果は乳癌患者における2次肺癌のスクリーニングを強化するべきであることを示唆している。 乳癌患者の死亡率を低下させるためには、 2次肺癌の患者への早期介入と治療が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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