海外ジャーナルクラブ
2年前
Ingasonらは, ワルファリンと直接経口抗凝固薬 (DOAC) による下部消化管出血 (GIB) の発生率をアイスランドの住民を対象にした全国規模のコホート研究で検討. その結果, ワルファリンはDOACと比較して, 上部GIBの発生率は高かったが下部GIBの発生率は高くなく, アピキサバンとの比較では消化管大出血の発生率が高いことが明らかとなった. 本研究は, Clin Gastroenterol Hepatol誌において発表された.
原著
タイトルは印象的なのですが, 結論としては 「ワルファリンとアピキサバン以外のDOACで、 全体的なGIBおよび消化管大出血の発生率は同等であった」 ことも同じくらい重要ですね.
GIB全体の発生率はワルファリンとDOACの間で広く比較されているが, これらの薬剤の種類によってGIBの上下部の発生率が異なるかどうかはまだ不明である.
2014~2019年に経口抗凝固薬の処方を受けたアイスランドの全患者のデータを収集し, アイスランド国立大学病院およびアイスランドの4つの地域病院の電子医療記録システムと紐づけを行った. すべてのGIB事象は, カルテレビューにより手作業で確認された.
ワルファリンはDOACと比較して, 上部GIBの発生率が高く (1.7件/100py vs 0.8件/100py, HR 2.12, 95% CI 1.26-3.59) , アピキサバン (HR 2.63, 95%CI 1.35-5.13) , ダビガトラン (HR 5.47, 95%CI 1.87-16.05) , リバロキサバン (HR 1.74, 95%CI 1.00-3.05) との比較においても高かったが, 下部GIBの発生率は同等であった.
ワルファリンはアピキサバンと比較して消化管大出血 (major GIB) の発生率が高かったが (2.3件/100py vs. 1.5件/100py, HR 1.79, 95%CI 1.06-3.05) , それ以外はワルファリンとDOACで全体的なGIBおよび消化管大出血の発生率は同等であった.
ワルファリンはDOACと比較して, 上部GIBの発生率は高かったが, 下部GIBの発生率は高くなかった. ワルファリンはアピキサバンと比較して, 消化管大出血の発生率が高かった.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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