亀田総合病院
8ヶ月前
肺炎球菌尿中抗原検査 (BinaxNOW™肺炎球菌) は、 尿中の肺炎球菌莢膜抗原を検出する迅速診断検査です。 市中肺炎の診療において、 肺炎球菌尿中抗原検査は、 起炎菌を評価する上で有効なツールであり、 広く用いられています。
肺炎球菌尿中抗原は、 感度 70~81%、特異度 90~98%と報告されています¹⁾²⁾。
長所と短所は以下のとおりです。 ときに偽陽性を起こすため解釈には注意が必要です。
肺炎球菌性肺炎で入院した患者は、 1ヵ月後の時点で70%の患者で尿中抗原が陽性であることが報告されています³⁾。 感染後半年程度まで陽性になり続けることがあるとされます。
また肺炎球菌ワクチン接種後1週間程度まで、 尿中抗原は偽陽性となる場合があることが知られています。 75~97歳の高齢者10例に23価肺炎菌莢膜多糖体ワクチンを接種し、 1日後に3例で陽性、 7日後には全例で陰性となったことが報告されています⁴⁾。
Streptococcus mitisと肺炎球菌は、 共通抗原が存在するため、 偽陽性を示すことがある。
肺炎球菌尿中抗原陽性を見たら、 まずは最近の肺炎球菌感染症の既往、 肺炎球菌ワクチン接種歴がないかを確認して、 偽陽性を除外することが重要です。
肺炎の起炎菌推定においては、 良質な喀痰を採取して、 グラム染色を行いましょう。 グラム染色で、 肺炎球菌を疑う、 莢膜をもつグラム陽性双球菌を優位に認めたら、 肺炎球菌性肺炎が示唆されます。
グラム染色がグラム陽性双球菌が優位で、 肺炎球菌尿中抗原が陽性なら、 肺炎球菌単独による市中肺炎と考えて、 ベンジルペニシリン (ペニシリンG) による治療を考えてもよいと考えています。
<出典>
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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