HOKUTO編集部
1年前
6月2~6日に開催された米国臨床腫瘍学会 "ASCO 2023"における乳癌に関する注目演題をご紹介します。 (HOKUTO編集部)
本試験はオランダで実施された第III相試験で、 HR+/HER2-進行乳がん患者を対象に、 CDK4/6阻害薬を1次治療として使用する場合と2次治療として使用する場合の効果と費用対効果が検証された。 結果、 1次治療でCDK4/6阻害薬を使用した場合、 使用期間が16.5カ月長かったものの、 無増悪生存期間 (PFS) や全生存期間 (OS) において有意な改善や、 臨床的に意義のある利益は認められなかった。 また、 毒性及び治療費用が増加し、 患者当たりの薬剤費用が20万ドル高かった。
本試験はスペインで実施された第II相試験で、 HR+/HER2-進行乳がんのうち、 1次治療でCDK4/6阻害薬パルボシクリブ+内分泌療法奏効後に進行した症例で、 継続してパルボシクリブを2次内分泌療法と併用する効果が検証された。 結果、 1次治療後にパルボシクリブを2次内分泌療法と共に使用しても、 内分泌療法単独に比べてPFSを改善しないことが明らかになった。
本試験は日本で実施された第III相試験で、 薬物療法抵抗性ではないIV期乳がんを対象に、 初期薬物療法後の原発巣切除と薬物療法単独の予後が比較された。 結果、 OSには有意差が見られなかったが、 無局所再発生存期間 (LRFS) は有意に延長した。 また閉経前、 単臓器転移の患者では、原発巣切除によりOSが改善する可能性が示された。
本試験は国立がん研究センター中央病院主導でアジアで実施された第III相試験で、 HR+/HER2-の閉経前後の進行乳がんを対象として、 パルボシクリブとタモキシフェンの併用療法とタモキシフェン単独療法が比較された。 結果、 併用療法はPFSとOSを有意に延長した。
本試験では、 再発高リスクのII/III期HR+/HER2-早期乳がん患者を対象に、 術後内分泌療法にCDK4/6阻害薬ribociclibを追加することの効果が検証された。 追跡期間中央値27.7カ月の時点で、 主要評価項目である無浸潤疾患生存期間 (iDFS) は、 ribociclib+内分泌療法群で有意に改善された (HR 0.748、 95%CI:0.618~0.906、 片側p=0.0014)。 また、 無遠隔再発生存期間 (DDFS) も同様に改善がみられた (HR:0.739、 95%CI:0.603~0.905、 片側p=0.0017)。 OSも改善の傾向を認めたが、 有意差は認められなかった。 また、 ribociclib 400mgの安全性も確認された。なお、日本においてはribociclibの開発は中止されている。
本試験は、 HER2+早期乳がん患者を対象とした第II相試験で、 ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法に対し、 トラスツズマブ+ペルツズマブ治療後に、 PET評価と術後の病理学的評価をし、 奏効が得られなくなるまで化学療法を追加しない治療戦略の効果を検証した。 追跡期間中央値3.5年の結果、 化学療法を含まないトラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法の3年無浸潤疾患生存 (iDFS) 率は同等の効果を示した。 特に、 18F-FDG PET/CTを指標とした反応例と病理学的完全奏効 (pCR) 例では最も高い結果 (98.8%) を示した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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