乳癌学会「パージェタの周術期投与に関する⾒解」発表:電子添文と適正使用ガイドに相違
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HOKUTO編集部

2ヶ月前

乳癌学会「パージェタの周術期投与に関する⾒解」発表:電子添文と適正使用ガイドに相違

乳癌学会「パージェタの周術期投与に関する⾒解」発表:電子添文と適正使用ガイドに相違
⽇本乳癌学会 地域医療・診療向上委員会は6月13日、 HER2陽性乳癌への 「パージェタの周術期投与に関する地域医療・診療向上委員会の⾒解」 を同学会公式サイトで発表した。

発表の背景

電子添文と適正使用ガイドの記載に相違、 保険審査上のリスクを懸念

HER2陽性乳癌の周術期における抗HER2抗体ペルツズマブ (製品名パージェタ) の投与に関して、 現在、 電子化された添付文書 (以降、 電子添文) と適正使⽤ガイドの記載内容に以下のような相違が認められる。

  • 電子添文
 「術前・術後薬物療法の場合には、 投与期間は12ヵ⽉間までとする」 
  • 適正使⽤ガイド
 「術前・術後に分かれて投与される場合でも、 合計12ヵ⽉間 (最⼤18サイクル) の投与が可能である」 

この表現上の差異により、 例えば術前に投与開始し術後に再開する場合や、 副作⽤により休薬期間が⽣じた場合などにおいて、 投与期間の解釈に難しさが⽣じており、 保険査定におけるリスクが発⽣する懸念がある。

見解のポイント

電子添⽂に記載された投与期間を重視

本見解において、 以下が対応方針として示された。

  • 現時点では、 各地域における社会保険診療報酬⽀払基⾦や国⺠健康保険団体連合会 (国保連) の査定状況を踏まえたうえで、 適正使⽤ガイドに基づく投与サイクル数よりも、 電子添文に記載された投与期間を重視してパージェタの投与を完了させることが、 査定を回避するうえでは重要であると考えられる
  • 適正使⽤ガイドに準じた運⽤による査定を免れる対策として、 症状詳記の作成が挙げられるが、 確実とは⾔えない
  • 他の対応策として、 事前に⽀払基⾦や国保連へ照会を⾏い、 個別確認を取ることが考えられる

電子添⽂は法的拘束力あり、 記載範囲を超えた投与は査定・指導対象の可能性

電子添⽂は、 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) および厚生労働省による審査・承認を経た公式⽂書であり、 医薬品の使⽤に関して法的拘束⼒を有する。 ⼀⽅で、 適正使⽤ガイドは製造販売業者が⾃発的に作成した参考資料であり、 法的拘束⼒はない。

特定地⽅の社会保険診療報酬⽀払基⾦において、 投与期間が12ヵ⽉を超過したパージェタ投与について査定される事例が複数報告されているという。 したがって、 仮に適正使⽤ガイドに基づきパージェタが使⽤されたとしても、 電子添⽂に記載された範囲を超えた場合には、 査定や指導の対象となる可能性があることに留意が必要とされている。

なお地域医療・診療向上委員会は見解末尾にて、 「本⾒解は当委員会としての考えを⽰すものですが、 ⽀払基⾦や国保連による査定に関する最終的な判断や対応については、 当該医療機関と両機関との間で解決されるべき事案であり、 ⽇本乳癌学会として責任を負うものではございません」 と付記している。

見解の詳細を閲覧する

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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