寄稿ライター
5ヶ月前

急に肌寒くなったと思ったら、 昼は汗ばむ陽気になることも。 医師の皆さん、 季節の変わり目に 「だるい」 「やる気が出ない」 「眠りが浅い」 といった不調を感じていませんか。 連載 「医師のためのボディメンテナンス」 第8回では、 そんな不調の予防・改善につながるセルフケアをご紹介します。
この季節の不調は、 「秋バテ」 や 「寒暖差疲労」 と呼ばれます。 夏の疲れが残ったまま気温差が大きくなることで自律神経のバランスが乱れ、 体調を崩してしまう状態です。 多忙な医師こそ、 気合いで乗り切る前に一度立ち止まり、 身体を整える時間を持ちましょう。

(1) 規則正しい生活
朝決まった時間に起きて朝日を浴びると、 セロトニンの分泌が促され、 自律神経のリズムが整います。
(2) バランスのとれた食事
冷たいものを避け、 温かいものを意識的に摂り入れましょう。 セロトニンの原料であるトリプトファンやビタミンB群を多く含むサンマやきのこ類もおすすめです。

(3) 入浴と睡眠
37~39℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、 副交感神経が優位になり、 睡眠の質を高めます。 睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、 体調不良を悪化させるため、 十分な睡眠時間を確保しましょう。
(4) 服装と室温の調整
朝晩の冷え込みに対応できるよう、 薄手の上着などで体温調節をしましょう。 エアコン設定は外気との差が大きくなりすぎないようにします。
上記の習慣に加え、 自律神経を整えるためにツボを押すことは、 効果的な対策の一つです。 特に、 精神的な緊張を緩和する効果があります。 具体的なツボとその効果をご紹介します。

おへその少し上を軽く押して“うっ”とした痛みを感じる場合、 東洋医学では 「瘀血 (おけつ) 」 と呼ばれる血の滞りがあると考えます。 これは冷えによって血流が悪化している状態です。 試しに寝る前に仰臥位で5分ほどお腹を温めてみてください。
方法は簡単。 仰向けで寝た状態で、 お腹の上に蒸しタオルまたは使い捨てカイロを当てます。 直接肌に当てず、 下着の上から温めてください。 皮膚に長時間触れると低温やけどの恐れがあります。
お腹全体が温まると、 手足もぽかぽかし、 自然と眠気が訪れます。

研究では、 睡眠中に腹部を温めることで腸の蠕動運動が活発になり、 翌朝の排便が改善する可能性も報告されています*¹⁾。 冷えや便秘に悩む医師にもおすすめのケアです。

【図1】をご覧ください。 足の裏、 土踏まずのやや上にある“へこみ”が湧泉 (ゆうせん) です。 足の指を曲げるとくぼむ部分で、 体調サインが現れるとされます。
親指で3~5秒かけて3~4回押すのがポイント。 少し痛いけれど心地よい強さで押しましょう。 足の冷えが和らぎ、 眠りが深くなります。

もうひとつが、 かかとの中央にあるツボ 「失眠」 (しつみん) です。
イスに座って片手で足首を支え、 反対の手のこぶしで 「失眠穴」 を20回ほどゆっくりたたきます。 湯たんぽやカイロで温めるのも効果的です。
刺激を与える際は、 ゆっくり息を吐きながら3~5秒押し、 吸いながら力を抜くのを5回ほど繰り返します。 ズーンとした感覚が心地良い響きとなりませんか?少しリラックスしましたか?

疲労感が強いときは、 耳の硬さをチェックしてみましょう。
【図2左】のように耳の根元を軽く前に倒して痛みや硬さがあれば、 自律神経が乱れているサインです。 耳は東洋医学で“腎”と関係が深く、 エネルギー不足やストレスが続くと耳が硬くなる傾向があります。
【図2右】のように耳の上と耳たぶがつくように、 耳を上下から折るようにしてみてください。 痛みを感じたり、 硬さに左右差があったりしませんか?
耳の周囲の側頭筋や頚筋の緊張やむくみなどにより耳が硬くなる傾向があります。 つまり、 耳を柔らかくすることが、 疲れやストレスを解消することにつながります。

側頭部の刺激も効果的です。 手のひらで手ぐしの形を作り、 小指をこめかみ、 中指を耳の上に置くようにして、 やさしく5秒ほど圧をかけます。 耳の周囲から側頭部全体にかけて、 4カ所ほど刺激を。
【図3】のように行うと、 側頭筋や頸部の緊張がゆるみ、 血流が改善します。 自律神経の調整だけでなく、 慢性疼痛や不眠の緩和にも用いられており、 心が静まるような安堵感が得られます。
いかがでしたでしょうか。 疲れが抜けない、 やる気が出ない──そんなときこそ、 自分の身体にやさしく向き合う時間を持ってください。 日々の診療を支えるのは、 まず“整った自分”からです。


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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