【APT試験】HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ+パクリタキセル
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10ヶ月前

【APT試験】HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ+パクリタキセル

【APT試験】HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ+パクリタキセル
腫瘍径の小さなHER2陽性乳癌患者において、 トラスツズマブ+パクリタキセルによる術後療法の効果を検証した単群コホートの第Ⅱ相試験APTの結果より、 長期予後が良好であることが示された。

原著論文

中間解析結果

Adjuvant paclitaxel and trastuzumab for node-negative, HER2-positive breast cancer. N Engl J Med. 2015 Jan 8;372(2):134-41. PMID: 25564897

7年間追跡結果

Seven-Year Follow-Up Analysis of Adjuvant Paclitaxel and Trastuzumab Trial for Node-Negative, Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Positive Breast Cancer. J Clin Oncol. 2019 Aug 1;37(22):1868-1875. PMID: 30939096

10年間追跡結果

Adjuvant paclitaxel and trastuzumab for node-negative, HER2-positive breast cancer: final 10-year analysis of the open-label, single-arm, phase 2 APT trial. Lancet Oncol. 2023 Mar;24(3):273-285. PMID: 36858723

関連レジメン

【APT試験】HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ+パクリタキセル

12週投与後、 トラスツズマブ(週1回2mg/kgまたは3週に1回6mg/kg)を40週間投与

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APT試験の概要

対象

腫瘍径3cm以下、 リンパ節転移陰性のHER2陽性乳癌患者

その後プロトコールが修正され、 腋窩郭清が完了し、 リンパ節転移が検出されなければ、 リンパ節微小転移を有する患者も組み入れることができるようになった

方法

  • 406例に対し、 下記治療を行った。
  • パクリタキセル (80mg/m²) +トラスツズマブ (初回4mg/kg、 以降2mg/kg) を12週間投与後、 トラスツズマブ (2mg/kg/週or6mg/kg/3週) を40週間継続。
  • 乳腺腫瘤摘出術を受けた患者は、 プロトコール治療開始前の乳房部分照射、 もしくはパクリタキセル投与終了後の乳房全体への照射を受けた (放射線治療を受けている間もトラスツズマブは継続)。
  • ホルモン受容体陽性の腫瘍を有する患者は、 パクリタキセル投与終了後にホルモン療法を行うことが推奨された。

評価項目

主要評価項目 : 無病生存期間 (DFS) 

副次評価項目 : 無再発率 (RFI)、 乳癌特異的生存率 (BCSS)、 全生存率 (OS)

APT試験の結果

患者背景

  • 年齢中央値 : 55歳
  • 女性 : 99.8%
  • アジア人 : 2.7%
  • ホルモン受容体陽性 : 67.0%
  • 腫瘍の大きさが1cm以下の患者 : 49.5%
  • リンパ節微小転移が認められた患者 : 1.5%

DFS率

  • 3年時 : 98.7%
(95%CI 97.6-99.8%)
  • 7年時 : 93.3% 
(95%CI 90.4-96.2%)
ホルモン受容体陽性患者 94.6%、 陰性患者 90.7%
  • 10年時 : 91.3% 
(95%CI 88.3-94.4%)

RFI率

  • 3年時 : 99.2% 
(95%CI 98.4-100%)
  • 7年時 : 97.5% 
(95%CI 95.9-99.1%)
  • 10年時 : 96.3% 
(95%CI 94.3-98.3%)

BCSS率

  • 7年時 : 98.6%
(95%CI 97.0-100%)
  • 10年時 : 98.8% 
(95%CI 97.6–100%)

OS率

  • 7年時 : 95.0% 
(95%CI 92.4-97.7%)
  • 10年時 : 94.3% 
(95%CI 91.8-96.8%)

有害事象 (AE)

  • 13例 (3.2%) でGrade3の神経障害が報告されたが、 Grade4の神経毒性は認めなかった。
  • 2例 (0.5%) がGrade3の左心室収縮機能障害を起こしたが、 両者ともトラスツズマブ中止後に回復した。

著者らの結論

腫瘍径の小さなHER2陽性乳癌患者において、トラスツズマブ+パクリタキセルによる術後療法は優れた長期予後と関連することが示された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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