メイヨークリニック感染症科 松尾貴公
20日前
メイヨークリニック感染症科 松尾貴公先生による連載です。 第7回は 「タスクをこなすための3つのテクニック」 についてご解説いただきます。
>> 第6回の記事 「タスクをこなすために知っておくべき4つの領域」
前回は、 タスクを効果的に管理するために知っておくべき4つの領域について学びました。 では、 実際にタスクを進める上で、 どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
マルチタスクが求められる現代において、 実は 「1つのタスクに集中する」 ということが非常に重要です。
多くの人が短い時間で複数のことをこなしている様子を見て、 「すごいな」 と感じることがあるかもしれません。 しかし、 同時に複数のタスクを進めることがかっこいいと勘違いし、 あれこれ手を付けた結果、 どれにも集中できずに進まない、 ということはありませんか?
1つのことに取りかかっても、 他のことが気になり中断してしまうというのはよくあることです。 例えば 「学会のパワーポイントを作り始めたのに、 途中でスマートフォンのSNSの通知が気になってチェックしてしまった」、 「何か業務の調べものをしようとしてパソコンを開いたにもかかわらず、 週末の予定を調べ始めてしまった」 などといったことです。
このようにタスクを中断し、 行動を頻繁に切り替えることが、 作業のスピードを大きく停滞させる原因となります。 そのため、 自分なりにルールを決めて、 1つのことに集中できる環境を作り出すことが大切です。
例えば、 30分間はスマートフォンを手の届かない場所に置く、 通知をオフにする、 パソコンの余計なタブをいったん閉じる、 などといった工夫が挙げられます。 マルチタスクが求められる時代だからこそ、 シングルタスクを大切にし、 集中して物事を進める能力が、 周囲との差をつける重要な要素となります。
集中時間を管理するツールとして、 ポモドーロ・テクニックを活用した『Focus To-Do』や『Focus-集中タイマー』などのアプリを試してみるのも良いかもしれません。
前回述べたように、 目の前のタスクを 「緊急度」 と 「重要度」 の2軸で整理し、 優先順位を決めましょう。 この際、 「緊急で重要なタスク」 を最優先にし、 次に 「重要だけど緊急ではないタスク」 に時間を割くようにします。
一方で、 「緊急ではあるが重要でないタスク」 にかける時間を減らすことがポイントです。 これにより、 日々の仕事が効率よく進むだけでなく、 長期的な目標に向けた準備や新たな挑戦に時間を割くことができるようになります。
重要度が高いものを意識しながら進めることにより、 生産性を向上させることができます。
1つのタスクに集中することは非常に重要ですが、 同時に全体を俯瞰し、 進捗状況を定期的に見直すことも欠かせません。 「進んでいるタスク」 と 「進んでいないタスク」 を把握することで、 優先順位の見直しや、 時間配分の調整が可能になります。
特に、 解決に時間がかかるタスクの場合、 定期的に進行状況を確認することで、 再開する際の時間ロスを防ぐことができます。 例えばタスクをいったん止めてから1ヵ月以上経過してしまうと、 再開時に何をしていたかを思い出すのに時間がかかり、 無駄な労力が必要になります。
1日のうちでほんの僅かな時間でも構わないので、 全体を俯瞰する習慣をつけることで、 計画的にタスクを進めることができ、 結果的に効率的に仕事をこなすのに役立ちます。
以上の3つのテクニックを実践することで、 タスク管理がより効果的になり、 生産性が向上するきっかけとなります。 シングルタスクに集中し、 時間を効率的に使いながら全体を俯瞰することで、 日々の業務をスムーズに進めることができることになります。 「時間を上手に使うことができる習慣」 を早いうちに身につけておくことは、 今後のキャリアに大いに役立つ可能性があります。
レジデントのためのビジネススキル・マナー
医師として成功の一歩を踏み出す仕事術55
本書では自分が失敗から学んできた社会人としての院内・院外で必要なマナーや、 医師としての心得、 自己成長を成し遂げていくために必要な仕事術を解説していきます。 特に若手医師の皆さんにこれらを少しでも早い段階で共有することにより、 医師としてのキャリアを成功させるためのお手伝いが少しでもできれば幸いです。
X (旧twitter) : @1min_ID_consult
X (英語版) : @1min_IDconsult
Youtube : @1min_ID_consult
Instagram : @1min_ID_consult
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。