寄稿ライター
2ヶ月前
インフレ社会で資産を拡大する方法として、 前回は株の重要性に触れました。 連載「医師による医師のための財テク術」の5回目では、 具体的にどのように株に投資していくか、 考えていきましょう。
第4回はコチラ。
株に投資をしようとする方なら、 誰もがテンバガー (元値の10倍になる株) を掴んで億万長者になりたい!と願っているはずです。 短期間で急騰する銘柄を買えれば、 これほど簡単な稼ぎ方もないですよね。 個別株には非常に高い配当金を出している企業も多いです。 では、 どうやってそういった企業を探せばいいのでしょうか。
上の表は、 米国における時価総額トップ10銘柄の推移です。 1970年代からIBMの全盛期で、 他には石油企業が上位の多くを占めていました。 しかし、 2010年以降はGAFAM (Google、 Amazon、 Facebook、 Apple、 Microsoft) の時代に突入していきます。 こうした時代の流れを読み切ることができれば、 大儲けできるかもしれませんね。
こういった1つ1つの株を購入するのを「個別株投資」といいますが、 下記のような理由で忙しい医師にはハードルが高いと考えています。
そこで登場してくるのは、 世の中の景気や経済など市場全体の動きを表す指標(インデックス)への投資する「インデックス投資」と呼ばれるものです。 その代表格がS&P500で、 一言でいうと米国の優良株500社の詰め合わせパックです。
大手格付け会社が、 一定の基準に基づいて勝手に銘柄を入れ替えているので、 新たに出た有望企業もしっかりキャッチしてくれますし、 逆に凋落した企業は投資対象から外してくれます。 このような高度な分散投資が可能になるにも関わらず、 手数料にあたる信託報酬は0.03% (Vangard社) と激安です。
S&P500を私がイチオシする理由の1つは、 その勝率の高さです。 上のグラフは、 1950年以降のある年にS&P500に投資を始め、 配当再投資を20年間続けた場合の結果を示したものです。 これをみると、 S&P500に配当再投資を20年以上すれば、 いつ始めても負けないということができます。
長期でみても、 20年間投資で負けるパターンは「1929年の世界恐慌前に一括投資し、 その後追加投資なし」のみであり、 積み立て投資をしていた場合には負けたことはありません。 これだと、 安心して投資が始められますね。
「S&P500が凄いのは分かった、 でも運用のプロに任せたらもっと凄いのでは?」と思った方もいるかもしれません。 上のグラフは、 1970年に存在していた投資信託の長期経過を追跡したものです。 43年間で77%もの投資信託が消滅してしまいました。
こうした投資信託はプロに運用を任せる分、 信託報酬が高くなるため、 せめて1%以上高い成績でないとS&P500に勝てないのですが、 S&P500に1%以上勝てた投資信託はわずか5%だったのです。
確かに、 数年間という短期であればS&P500に勝てる投資信託は一定数ありますが、 長期になればなるほどS&P500に軍配があがることが知られています。 投資のプロですらこうなのですから、 素人である我々医師はおとなしくS&P500を主軸に投資するのが無難なのです。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは、
となります。 こうしてみると死角なしのS&P500ですが、 懸念点もあります。 次回は、 その点を勉強していきましょう。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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