海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
幅広い臨床状況で使用されるアルブミンは、 コストも高いほか、 使用にはリスクも伴う。 そこで専門的な知識をもつ多職種からなる国際的な委員会*が、 アルブミン投与の使用に関するガイドラインを策定し、 アルブミンが一般的に処方される患者集団における14項目の推奨を盛り込んだ。 本ガイドラインはChestにて発表された。
14項目の推奨は以下のとおりです。 まとめると、
重症患者、 熱傷、 ARDS、 新生児、 小児、 腎代替療法、 心臓外科手術でアルブミン投与は推奨されず、 肝硬変+SBPか肝硬変+大量腹水穿刺患者にはアルブミン投与が推奨される
とのことです。 各推奨の詳細やエビデンスについては、 本ガイドラインを参照ください。
❶熱傷、ARDS患者以外の重症成人患者の場合、 第一選択の体液補充、血清アルブミン値上昇のためのアルブミン投与は推奨されない。
❷熱傷またはARDSの重症成人患者の場合、体液補充または血清アルブミン値上昇を目的としたアルブミン投与は推奨されない
❸重症成人患者の場合、 血管外液の除去のため利尿薬にアルブミン投与を併用することは推奨されない
❹感染症および低灌流の小児患者の場合、 死亡率を低下させるためのアルブミン投与は推奨されない
❺血清アルブミン低値および呼吸困難のある早産児 (≦36週) の場合、 呼吸機能改善のためのアルブミン投与は推奨されない
❻低灌流の有無を問わず早産児 (≦32週または≦1,500g) の場合、 容量置換のためのアルブミン投与は推奨されない
❼腎代替療法を施行中の患者の場合、 透析低血圧の予防または治療、 あるいは限外濾過の改善のためのアルブミン投与は推奨されない
❽心臓血管外科手術を受ける成人患者の場合、バイパス回路のプライミングまたは容量置換のためにアルブミン投与を行うことは推奨されない
❾心臓血管外科手術を受ける小児患者の場合、 バイパス回路のプライミングまたは容量置換のためにアルブミン投与を行うことは推奨されない
❿大量腹水穿刺 (>5L) を行っている肝硬変および腹水を有する患者の場合、 腹水穿刺による循環不全を予防するためにアルブミン投与が推奨される
⓫肝硬変および特発性細菌性腹膜炎 (SBP) を有する患者の場合、 死亡率低下のためのアルブミン投与が推奨される
⓬肝硬変および腹腔外感染を有する患者の場合、 死亡率低下または腎不全減少のためのアルブミン投与は推奨されない
⓭低アルブミン血症 (<30g/L) を伴う非代償性肝硬変の入院患者の場合、 感染、 腎機能障害、 または死亡を減少させるために、 アルブミン値が30g/Lを超えるようアルブミン投与を繰り返すことは推奨されない
⓮肝硬変で利尿薬による治療を受けても腹水がある外来患者の場合、肝硬変に関連する合併症を軽減するための定期的なアルブミン投与は推奨されない
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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