海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Suらは、 世界疾病負担研究2021 (Global Burden of Disease Study 2021: GBD 2021) のデータを用いて、 世界195の国と地域を対象とした2050年までのパーキンソン病 (PD) 有病率を予測し、 PD患者の変化に寄与する要因を評価した。 その結果、 2050年にはPD患者数が2021年比で112%増加し、 この増加は社会人口統計学的特性指数 (SDI)が中位の国、 東アジア、 男性でさらに顕著になると予測された。 研究結果はBMJ誌に発表された。
約100%増なので、 現在の2倍の数になります。 2000年から現在までに2倍になっていますので、 そう考えるとものすごい増加率です。
GBD 2015によるとPD患者は神経疾患のなかで最も急速に増加しているが、 世界的な有病率の予測はほとんどない状況にある。
そこでこの研究では、 2050年までのPD有病率を予測し、 その変化に寄与する要因について評価した。
世界疾病負担研究2021 (Global Burden of Disease Study 2021 : GBD 2021) のデータを用いて、 195の国と地域を対象とした2050年までのパーキンソン病 (PD) の世界有病率を年齢、 性別、 年、 社会人口統計学的特性指数 (SDI) 別に予測し、 PD患者の変化に寄与する要因を検討した。
主な評価項目は以下の通りであった。
2050年には世界で2,520万人 (95%UI 2,170-3,010万人) がPD患者となり、 2021年から112% (95%UI 71-152%) 増になると予測された。
2021年から2050年までの患者増加の主な要因は人口の高齢化 (89%) であり、 人口増加 (20%)、 有病率の変化 (3%) がこれに続くと予測された。
パーキンソン病の有病率は、 2050年には10万人当たり267例 (95%UI 230-320例) と予測され、 2021年から76% (95%UI 56-125%) の大幅な増加を示した。
年齢標準化有病率は10万人あたり216例 (95%UI 168-281例) と予測され、 2021年から55% (95%UI 50-60%) の増加となった。
SDIの中間五分位の国々は、 2021年から2050年の間にパーキンソン病の全年齢有病率 (144% [95%UI 87-183%]) および年齢標準化有病率 (91% [95%UI 82-101%]) の増加率が最も高いと予測された。
2050年のPD患者数は東アジア (1,090万人 [95%UI 900-1,330万人]) が最も多く、 サハラ以南のアフリカ西部 (292% [95%UI 266-362%]) が2021年からの増加が最も著しいと予測された。
80歳以上の年齢層は、 2021年から2050年にかけてPD患者数が最も増加すると予測された (196% [95%UI 143-235%])。
PDの年齢標準化有病率の男女比は、 世界全体で2021年の1.46から2050年には1.64に増加すると予測された。
著者らは 「2050年までにPDは、 患者、 その家族や介護者、 地域社会、 社会にとって、 さらに大きな公衆衛生上の課題となっている。 患者の増加傾向は、 SDIが中位の国、 東アジア、 男性で顕著になると予測される。 この予測は、 保健研究の推進、 政策決定への情報提供、 資源配分の一助となるであろう」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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