海外ジャーナルクラブ
2年前
Devosらは、 新規診断のパーキンソン病患者を対象に、 鉄キレート剤デフェリプロンによる黒質中の鉄含有量減少が疾患進行に与える影響を多施設共同第Ⅱ相無作為二重盲検試験で検討。 その結果、 デフェリプロンの投与は、 プラセボと比較し、 疾患の進行やパーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)のスコアの悪化と関連していた。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
Trial of デフェリプロン in Parkinson's Disease. N Engl J Med. 2022 Dec 1;387(22):2045-2055.PMID: 36449420
本研究を含め、 パーキンソン病の進行を抑制することができるはっきりとした効果を示した治療薬は現在のところ存在しません。 今後も道のりは大変ですが、 1つずつ研究を継続していく必要があります。
パーキンソン病患者の黒質では鉄分が増加しており、 その病態生理に関与している可能性がある。 初期の研究では、 鉄キレート剤であるデフェリプロンがパーキンソン病患者の黒質中の鉄含有量を減少させることが示唆されているが、 疾患の進行に対する効果は不明である。
新規診断のパーキンソン病患者で、 以下の群に1:1の割合で割り付けた。
ドパミン作動薬による治療は、症状コントロールのために必要と判断される場合を除き、差し控えた。
36週間後のMDS-UPDRSの総得点の変化
運動障害と非運動障害の測定
MRIを用いた脳内鉄量測定
デフェリプロン群:22.0%
プラセボ群:2.7%
デフェリプロン群:ベースライン34.3点→その後15.6点増加
プラセボ群:ベースライン33.2点→その後 6.3点増加
差:9.3点、 95%CI 6.3-12.2、 P<0.001
なお、 黒質線条体の鉄量は、プラセボ群よりもデフェリプロン群でより減少した。
デフェリプロンによる主な重篤な有害事象
無顆粒球症:2例
好中球減少症:3例
レボドパの投与経験がなく、 ドパミン作動薬による治療が予定されていない初期のパーキンソン病患者において、 デフェリプロンはプラセボと比較して、 MDS-UPDRSのスコアの悪化と関連していた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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