HOKUTO編集部
2年前
肝細胞がん (HCC) の術後療法において、 現在標準療法は確立されていない。 切除不能HCCの一次治療においては、 第Ⅲ相試験IMbrave150において、 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+抗VEGF抗体ベバシズマブ併用療法がマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブ単剤に比べて無増悪生存期間 (PFS)、 全生存期間 (OS) をいずれも有意に改善することが示されている (J Hepatol 2022; 76: 862-873)。
国際オープンラベル第Ⅲ相ランダム化比較試験IMbrave050では、 根治目的の外科切除または焼灼療法後に再発リスクが高いHCC患者を対象に、 アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の有効性および安全性をアクティブサーベイランス群を対照に検証。
2023年4月14〜19日に開催された米国癌研究協会 (AACR 2023) では、 シンガポール・National Cancer Centre SingaporeのPierce Chowc氏がその結果から、 主要評価項目である無再発生存期間 (RFS) の有意な延長が認められたことを発表した。
対象は、 治癒切除または焼灼療法を受けたHCC患者で、
ーなどの適格基準を満たした患者。 術後補助療法としての肝動脈化学塞栓術 (TACE) は術後1サイクルまで許容されていた。
登録された668例が1:1で以下の2群にランダムに割り付けられた。
アクティブサーベイランス群では、 再発または許容し難い毒性が認められた場合は、 クロスオーバーが認められた。
主要評価項目は独立審査委員会 (IRF) の評価による無再発生存期間 (RFS) だった。
両群の患者背景は同様で、 年齢中央値は59〜60歳、 アジア人は80%強を占めた。 また切除術、 焼灼療法を受けていたのはそれぞれ87〜88%、 12〜13%だった。
中央値17.4カ月の追跡の結果、RFS中央値および12カ月時RFSは以下のとおり。 アテゾリズマブ+ベバシズマブ群で有意な改善が認められた。
副次評価項目の1つである全生存期間 (OS) については、 イベント発生率が7% (47例) とimmatureであった。 アクティブサーベイランス群の61%の症例がアテゾリズマブ+ベバシズマブ群にクロスオーバーしていた。
アテゾリズマブ+ベバシズマブ群で認められた治療関連のグレード3/4の有害事象 (AE) は34.9%、 治療関連の死亡例は0.6% (2例) に認められた。 新たなAEは認められなかった。
アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法は、 再発リスクが高いHCC患者の術後補助療法において、 新たな治療選択肢となりうる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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