海外ジャーナルクラブ
1年前
Peelらは、 関節形成術が予定されており、 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の保菌が確認されていない患者を対象に、 セファゾリンの予防投与にバンコマイシンを追加した際の効果を多施設共同二重盲検プラセボ対照優越性試験で検討した。 その結果、 セファゾリンにバンコマイシンを追加しても、 プラセボを追加した場合と比較し、 手術部位感染予防において優れていなかった。 本研究はNEJM誌において発表された。
NEJMはLancetやJAMAと違って、 研究結果の臨床応用を読者自身に考えさせる部分がありますのでそれに悩むこともあります。 本研究結果ではバンコマイシンの追加は関節形成術時の手術部位感染予防に優れない、 ことがはっきり言えると思います。
関節形成術において,βラクタム系薬の予防投与にバンコマイシンを追加すると、 手術部位感染が減る可能性が考えられるが、 その有効性と安全性は確認されていない。
関節形成術が予定されており、 MRSAの保菌が確認されていない患者
患者を以下の群に割り付けた
術後90日以内の手術部位感染
修正ITT集団 (4,113例) における手術部位感染
相対リスク (RR) :1.28 (95%CI 0.94-1.73、 p=0.11)
膝関節形成術の患者における手術部位感染
RR:1.52 (95%CI 1.04-2.23)
股関節形成術を受けた患者における手術部位感染
RR:0.98 (95%CI 0.59-1.63)
有害事象
有害事象の内訳
過敏反応
RR:2.20 (95%CI 1.08-4.49)
急性腎障害
RR:0.57 (95%CI 0.39-0.83)
MRSAの保菌が確認されていない関節形成術患者において、 セファゾリンの予防投与にバンコマイシンを追加しても、 プラセボを追加した場合と比較して手術部位感染予防において優れていなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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