【NEJM】バンコマイシンの追加は関節形成術時の手術部位感染予防に優れず
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海外ジャーナルクラブ

6ヶ月前

【NEJM】バンコマイシンの追加は関節形成術時の手術部位感染予防に優れず

【NEJM】バンコマイシンの追加は関節形成術時の手術部位感染予防に優れず
Peelらは、 関節形成術が予定されており、 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の保菌が確認されていない患者を対象に、 セファゾリンの予防投与にバンコマイシンを追加した際の効果を多施設共同二重盲検プラセボ対照優越性試験で検討した。 その結果、 セファゾリンにバンコマイシンを追加しても、 プラセボを追加した場合と比較し、 手術部位感染予防において優れていなかった。 本研究はNEJM誌において発表された。 

📘原著論文

Trial of Vancomycin and Cefazolin as Surgical Prophylaxis in Arthroplasty. N Engl J Med. 2023 Oct 19;389(16):1488-1498. PMID: 37851875

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

NEJMはLancetやJAMAと違って、 研究結果の臨床応用を読者自身に考えさせる部分がありますのでそれに悩むこともあります。 本研究結果ではバンコマイシンの追加は関節形成術時の手術部位感染予防に優れない、 ことがはっきり言えると思います。

🔢関連コンテンツ

バンコマイシン

VCM(バンコマイシン®)

セファゾリン

CEZ(セファゾリン、セファメジンα®)

背景

関節形成術において,βラクタム系薬の予防投与にバンコマイシンを追加すると、 手術部位感染が減る可能性が考えられるが、 その有効性と安全性は確認されていない。

研究デザイン

対象

関節形成術が予定されており、 MRSAの保菌が確認されていない患者

介入

患者を以下の群に割り付けた

  • バンコマイシン群:セファゾリンの予防投与に加え、 バンコマイシン1.5gを投与
  • プラセボ群:プラセボとして生理食塩水を投与

主要評価項目

術後90日以内の手術部位感染

研究結果

有効性評価

修正ITT集団 (4,113例) における手術部位感染

  • バンコマイシン群4.5% (2,044例中91 例)
  • プラセボ群:3.5% (2,069例中72 例)
相対リスク (RR) :1.28 (95%CI 0.94-1.73、 p=0.11) 

膝関節形成術の患者における手術部位感染

  • バンコマイシン群:5.7%
  • プラセボ群:3.7%
RR:1.52 (95%CI 1.04-2.23) 

股関節形成術を受けた患者における手術部位感染

  • バンコマイシン群:3.0% (920例中28例)
  • プラセボ群:3.1% (930例中29例)
RR:0.98 (95%CI 0.59-1.63) 

安全性評価

有害事象

  • バンコマイシン群:1.7% (2010例中35例)
  • プラセボ群:1.7% (2030例中35例)

有害事象の内訳

過敏反応

  • バンコマイシン群:1.2% (2,010例中24例)
  • プラセボ群:0.5% (2,030例中11例)
RR:2.20 (95%CI 1.08-4.49) 

急性腎障害

  • バンコマイシン群:2.1% (2,010例中42例)
  • プラセボ群:3.6% (2,030例中74例)
RR:0.57 (95%CI 0.39-0.83) 

結論

MRSAの保菌が確認されていない関節形成術患者において、 セファゾリンの予防投与にバンコマイシンを追加しても、 プラセボを追加した場合と比較して手術部位感染予防において優れていなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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