SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(後編)
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HOKUTO編集部

1年前

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(後編)

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(後編)

2023年5月31日~6月3日に開催された欧州リウマチ学会 (EULAR 2023) の Recommendationセッションでは、 2019年に公表されたSLEのマネジメントに関する推奨がupdateされ、 Dimitrios T. Boumapas氏が変更点を解説した。 今回、 早期診断の重要性およびEULAR 全身性エリテマトーデス推奨2023年版の変更点に関する要点をまとめた(前編はこちら)。

注意点として、 図表に関してはセッション内容に基づいて作成したものであり、 詳細に関しては今後の2023 update of the EULAR recommendations の出版が待たれる。 

セッションの後半の中心話題

セッションの後半は、 主にループス腎炎 (LN) を中心とした変更点に関して述べられた。

ループス腎炎の早期診断・治療に関するポイント

  • 血清学的検査で活動性を認める場合は、 血尿に関して過小評価しないこと
  • 疑った場合は腎生検の閾値を低くして、 施行してみること
  • 血尿/尿沈渣は、 活動性と再燃の信頼できる指標であるが、 予後には関与しない
  • 一方で、 蛋白尿は0.7mg/dL以下であれば予後良好な因子である
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MMFやシクロホスファミド静脈内投与による初期治療が強調された。 また、 ベリムマブおよびボクロスポリンの第III相RCTの結果を踏まえ、 治療開始時よりベリムマブやカルシニューリン阻害薬の併用療法を検討すべきという文言が追加された。 この併用療法に関しては、 LN全例が対象である。 その背景としてLN患者では軽度な患者から腎不全リスクの高い患者まで多様であることや、 患者毎の治療反応性の予測もできないことが挙げられた。 ベリムマブにはフレア抑制やGFRの保護、 カルシニューリン阻害薬には蛋白尿の急速な減少の効果が示唆されている。

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(後編)
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カルシニューリン阻害薬の長期使用に関しては腎臓内科専門医にとっても問題とされており、 3年間の使用を超えるべきではない。 また12週でPRを達成していないLN患者では、 3年目にCRを得る可能性が低くなるという報告もある(Arthritis Res Ther 2017; 19: 4)。

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急な中止に中止せず、 まずステロイドを漸減する。 免疫抑制剤は可能な場合休薬する。 ただしカルシニューリン阻害薬は3年間を超えて使用しない。 HCQの休薬は基本的に推奨されない。

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セッションにてDOACの使用を避けることが強調された。

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腎保護に関するSGLT2阻害薬の使用においては、 GFRが60~90mL/分未満で蛋白尿のあるLN患者の場合にACE/ARBiに続く選択肢として検討してよいかもしれないが、 これに関しては、 さらなる研究が必要である。

SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(後編)

Keypoint

  • 早期診断/早期治療が重要。 SLERPIの使用や腎生検の閾値を低くする。 患者を層別化すること。
  • ステロイドは命を救う一方で、 過剰な副作用を伴うことがある。
  • ステロイドは短期的なレスキューブリッジング療法として有効であるが、 患者の一部には5mg/kg/dayのプレドニゾンの使用が適しているかもしれない。
  • 寛解またはLLDASを目標とするが、 プレドニゾンは最大5mg/kg/dayである.
  • 生物学的製剤はステロイドの漸減でき、 より多くの患者で寛解またはLLDAS達成を保証すると同時に、 再燃やダメージを減少させる。
  • 早期に使用すれば、 より良い反応が得られ、 少ないダメージで済む可能性がある。
  • 疾患活動性とダメージを測定し、 The Quality of Life Scale (QOLS)によってケアの質を監視すること
SLEのマネジメントに関する推奨updateをまとめて解説(後編)

解説医師:小森 宏太郎先生

亀田総合病院
リウマチ膠原病アレルギー内科

こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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