【JAMA】心不全の入院患者、 トラセミドとフロセミドで退院後の全死因死亡に有意差なし
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【JAMA】心不全の入院患者、 トラセミドとフロセミドで退院後の全死因死亡に有意差なし

【JAMA】心不全の入院患者、 トラセミドとフロセミドで退院後の全死因死亡に有意差なし
Mentzらは、 心不全で入院した患者を対象に、 トラセミドがフロセミドと比較し、 退院後の死亡率を低下させるかを非盲検実用的無作為化試験で検討 (TRANSFORM-HF試験)。 その結果、 トラセミドとフロセミドの間には、 12カ月間の全死因死亡率に有意差がなかった。 本研究は、 JAMA誌において発表された。

📘原著論文

Effect of Torsemide vs Furosemide After Discharge on All-Cause Mortality in Patients Hospitalized With Heart Failure: The TRANSFORM-HF Randomized Clinical Trial. JAMA . 2023 Jan 17;329(3):214-223. PMID: 36648467

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究はPragmatic trialsということで対象患者群を出来るだけ制限せずに、 一般化可能性を高めたRCTデザインとなっています。

🔢関連コンテンツ

ルプラック®︎錠4mg/8mg

トラセミド 薬剤添付文書

ラシックス®︎錠10mg/20mg/40mg/100mg

フロセミド 薬剤添付文書

FAILURE (心不全の増悪因子)

語呂合わせ:慢性心不全の増悪因子

GWTG-HFリスクスコア

急性心不全入院患者の短期予後予測指標

NYHA心機能分類

ニューヨーク心臓協会の心不全分類

背景

心不全において最もよく使用されるループ利尿薬はフロセミドであるが、 いくつかの研究ではトラセミドの有用性が示唆されている。

研究デザイン

対象

米国の60病院での心不全入院患者 2,859名

方法

トラセミド群 1,431名

フロセミド群 1,428名

治験責任者が選択した用量で実施した。

主要評価項目

30カ月間の全死因死亡率

研究結果

主要評価項目

全死因死亡

  • トラセミド群:26.1% (1,431名中373名)
  • フロセミド群26.2% (1,428名中374名)
HR 1.02、 95%CI 0.89-1.18

副次評価項目

無作為化後12カ月間の全死因死亡または理由を問わない入院

  • トラセミド群:47.3% (1,431名中677名)
  • フロセミド群:49.3% (1,428名中704名)
HR 0.92、 95%CI 0.83-1.02

総入院件数

トラセミド群536名における総入院件数は940件、 フロセミド群577名における総入院件数は987件であった。

  • 率比 0.94、 95%CI 0.84-1.07

サブグループ解析

結果は、 駆出率低下、 軽度低下、 維持の患者を含む、 事前に指定されたサブグループ間においても同様であった。

結論

心不全で入院後、 退院した患者におけるトラセミドとフロセミドの比較は、 12ヵ月間の全死因死亡に有意差を認めなかった。 しかし、 結果の解釈は、 フォローアップの喪失、 参加者のクロスオーバーや非アドヒアランスによって制限される。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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