【専門医寄稿】ASH2023 注目トピックス(1) -DLBCL特集-
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HOKUTO編集部

4ヶ月前

【専門医寄稿】ASH2023 注目トピックス(1) -DLBCL特集-

【専門医寄稿】ASH2023 注目トピックス(1) -DLBCL特集-
2023年12月9~12日に米国・サンディエゴで開催された米国血液学会 (ASH 2023) について、 4回に渡り注目トピックスを紹介します。 第1回となる今回は、 ウェブ参加された藤先生に、 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) に関する注目演題の6題についてご解説いただきました。

再発・難治性DLBCL (Liso-celの後方視的多施設共同研究)

再発・難治性DLBCLに対するCAR-T細胞Liso-celのRWD

(ASH2023 Abstract#617)

CAR-T細胞リソカブタゲン マラルユーセル (Liso-cel) の実臨床における成績の後方視的な多施設共同研究の報告です。 

年齢中央値は71歳で、 75歳以上も30%程度含まれており、 80%程度の症例が完全奏効 (CR) を得られなかった状況でしたが、 全体的な成績は既報の前向きの臨床試験と同等な印象を受けました。 また、 二次性中枢神経 (CNS) 系リンパ腫の症例においても期待できる成績を示していました。 

実臨床においての成績が、 前向きの臨床試験における成績と同等であるかを確認していくことは非常に重要であり、 本邦においても検討が進められることを期待します。

再発・難治性LBCL

Mosunetuzumab+ポラツズマブ ベドチンの第Ib/II相試験

(ASH2023 Abstract#613)

再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫 (LBCL) に対する二重特異性抗体mosunetuzumab+抗CD79bモノクローナル抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンの検討です。 

いわゆる古典的な抗癌薬投与なしの併用療法という点で関心がもたれ、 予後不良の症例において期待できる成績を示しています。 特に、 CAR-T細胞療法後の症例でも有効性が示されている点は着目されます。 薬剤の組み合わせ的にも、 安全性も大きな問題はないと予想されましたが、 データ上も特に大きな問題はなかったようです。 

二重特異性抗体単剤での成績自体も限られているので、 併用がどの程度優れているのかという点に関しては、 はっきりとしたことは言いにくい状況ではあります。 現在第Ⅲ相試験が進行中のようです。

二重特異性抗体投与前のベンダムスチン使用例の後ろ向き研究

(ASH2023 Abstract#310)

二重特異性抗体投与前のベンダムスチン使用が二重特異性抗体の効果・毒性に影響するかを検討した研究です。 

LBCLと濾胞性リンパ腫 (FL) に分けての検討が主でしたが、 全体としてはベンダムスチンの投与に有意な影響はなさそうでした。 ただし、 同薬がかなり近いタイミング (<6ヵ月未満) で使用された場合には、 症例数が非常に少ないので結論付けるのは難しいものの、 悪影響がある可能性も示唆されるデータではあります。 

今後の症例を増やした解析結果が望まれますが、 CAR-T細胞療法時では同薬の使用がかなりはっきり成績とも関係している結果とは、 異なる印象を受けました。

ctDNA

進行DLBCLの治療効果判定、 PET/CTに比べctDNAが優位

(ASH2023 Abstract#192)

DLBCLの治療効果判定でのPET/CTを、 ctDNAが凌駕するような結果が示されています。 確かにPET/CTはDLBCLの治療効果判定において強い予後予測因子となりますが、 発表でも示されていたように、 検査における予後の予測に関して陽性反応適中度 (PPV) 48.8%、 陰性反応適中度 (NPV) 83.5%とPPVの低さが問題となります。

本発表においてもctDNAの方がPET/CTよりも優れるような結果が示されていましたが、 症例数が少し限られていたのが問題点ではあります。 ただ、 同グループから既に同様の報告が複数あり、 一貫性はありそうです。

ctDNAの評価だけで十分であればPET/CTを行う必要性が減少し、 実臨床でもメリットが大きいため、 今後のさらなる開発が進むことを期待します。

ctDNAはCNS浸潤あり新規DLBCLの評価に有用

(ASH2023 Abstract#188)

DLBCLにおける髄液中のctDNAに関する中国からの報告です。 

DLBCLに限らず、 本領域ではCNS浸潤の有無の評価は必ずしも正確にできているというわけではなく、 その検査法のさらなる改善が求められています。 

本研究では、 ctDNAの評価がCNS浸潤の評価に有用である可能性を示唆しており、 今後の発展が期待されます。 本邦ではすぐに検討することが難しいものの、 より簡便に行えるフローサイトメトリー解析などとの比較なども行われることが望まれます。

DLBCLにおけるctDNA 検出の限界と可能性

(ASH2023 Abstract#187)

ctDNAの解析は他の疾患でも非常に活発な研究が行われていますが、 今回はDLBCLにおける可能性を示唆する研究でした。 まだまだctDNAの評価法が標準化されているとは言い難いところではありますが、 ctDNAの評価がその後の無増悪生存期間 (PFS) およびOSをかなり正確に予測できるとなると、 臨床試験の設定などにも影響してくる可能性はあります。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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