【医師必見】オピオイドを分泌させるツボ刺激
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3ヶ月前

【医師必見】オピオイドを分泌させるツボ刺激

【医師必見】オピオイドを分泌させるツボ刺激
医師の皆さん、 頑張りすぎてないですか?心身ともに疲れていませんか?連載 「医師のためのボディメンテナンス」 の3回目では、 診察の合間にも自分でできるオススメのツボ刺激をご紹介します。 

自然治癒力を高める3つの提案

前回 「頑張る医師にオススメの呼吸法」 は、 自律神経 (特に副交感神経を優位にする) の調整のための呼吸法を紹介しました。 今回は呼吸法にプラスし、 ツボ刺激を加えたメソッドを紹介します。 

私が提案するのは、 ご自身が気持ち良く、 リラックスして継続して出来るものです。 本来身体が持っている自然治癒力 (ホメオスタシス) を高め、 心と身体のポテンシャルを高める3つのポイントが以下になります。

  1. ちょっとした休憩時に活用するセルフケア ⇒ 疲労の借金をしない ⇒ 呼吸法とツボ押しで自律神経の調節を図り疲労回復]
  2. 脳の働きに関わる神経伝達物質 (オピオイド) を意識する
  3. 自分なりの切り替えスイッチを持つ ⇒ 仕事モードとリラックスモード、 ONとOFF ⇒ ツボ押しやセルフ灸で身体をゆるめる

疲労やだるさを感じる時に、 本来備わっている自然治癒力を高め、 心と身体のポテンシャルを最大限に引き出すセルフケアの習慣づけは非常に重要です。

全身に361のツボ

まず、 先生方はツボ (経穴) についてどの程度知っていますか?おそらく 「足裏ツボや痩せる耳つぼは知っているけれど、 詳しくは知らない」 という先生が大半だと思います。

ツボは東洋医学の経験の蓄積によって確立されたもので、 数千のツボがあると言われています。 公式には、 WHO (世界保健機構) 2006年、 治療効果を認めたツボ 「361穴」 を認定しています。 全身に361のツボがあるということです 。

代表的な 「合谷」 を刺激してみよう

試しに、 代表的なツボの1つである合谷 (ごうこく) を刺激してみましょう。 このツボは親指と人差し指の骨が交差した部分 【図1】にあります。 反対側の親指でゆっくり5秒ほど押してみてください。

【医師必見】オピオイドを分泌させるツボ刺激
図1 合谷のツボ刺激 (筆者提供)

その時に 「ズーン」 と重たい感覚を感じることが大事です。 何とも言えない重だるい、 または痛気持ち良い感覚だと思います。 実はそのツボ刺激で皆さんの脳内には痛みや疲労を解消させる 「脳内麻薬 (オピオイド) 」 が分泌されています。

オピオイドが分泌される機序

その機序を簡単に説明します。 ツボを刺激した際にズーンとした感覚は脳で感じるものです。 ツボには多くの知覚神経が密集しており、 主に痛覚、 温覚、 冷覚に興奮する 「ポリモーダル受容器」 を介し、 知覚神経⇒脊髄へ、 脊髄⇒脊髄視床路を通り大脳皮質に伝わります。

ツボから得た信号で脳を刺激していることになります。 ポリモーダル受容器は侵害受容器であり、 鍼やお灸、 ツボ刺激を 「痛み刺激」 として脳へ伝え、 本来人間が持っている防衛本能が働き、 オピオイドが分泌されるわけです。

ツボ刺激でオピオイド2~3倍に

ツボ押しは自分で出来るメリットがあります。 どの程度の量のオピオイドの分泌がされるかは、 【図2】を見て下さい。 「合谷」 に鍼刺激を行った際のエンドルフィン (オピオイドの一種) の血中濃度を測定したもので、 刺激前 (5.6pg/ml) に比べて、 刺激30分後 (13.6pg/ml) は2~3倍に増加します。 つまり薬物などの外的要因に頼らず、 自然治癒力を最大限高められるのがツボ刺激になります。

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図2 ツボを刺激した際の脳内麻薬 (オピオイドの変化)
矢野忠ほか(1986)「針通電刺激における鎮痛効果の発現について」,日温気医誌50 (4) ,197-206より引用

鍼や指圧といった侵害刺激が、 中脳のPAG (中脳中心灰白質) を活性化し、 脊髄と脳に存在するオピオイド受容体にオピオイドが結合することで、 痛みの伝達神経をブロックし鎮痛作用が得られるということです。

ツボ刺激で腰痛が軽減?

「ホンマかいな?」 と疑問に感じる先生もいると思います。 ここでツボ刺激による実験をしてみましょう。

【医師必見】オピオイドを分泌させるツボ刺激
図3 (筆者提供)
  1. まずその場で立ち、 体幹部の前屈をしてください 【図3】。 床まで手指がつきますか?つかない場合は、 床からどの程度距離があるか確認しておいてください。 また、 後屈して腰部の痛みがあるかも確認しておいてください。
  2. 次に手の 「合谷」 のツボ刺激をします。 まず右の合谷を左の母指で5秒押し、 次に左の合谷を右の母指で5秒押します。 それを3回繰り返してください。 押している時にズーンとした感覚が得られるようにしてください。
  3. それでは、 ①で行った体幹部の前屈をしてみてください。 ツボ刺激をする前より指が床に近づいたと思いませんか?また、 後屈ではさっきより腰痛が軽くなりませんか?

そうなんです。 通常、 体を柔らかくするには体幹部や足のストレッチなどをすると思いますが、 まったく関係のない手の末端のツボを刺激することで、 なぜか体の柔軟性が増したり、 腰痛が軽くなったります

ツボ刺激によってオピオイドが分泌し、 自律神経の交感神経の抑制が働き、 リラックス効果を導き出すからです。

【医師必見】オピオイドを分泌させるツボ刺激

ご自身で行うツボ刺激は疲れない体を手に入れる、 または疲れを緩和させる一つのツールになります。

リラックス効果があるもう1つのツボ

オピオイド分泌やリラクゼーションに効果のあるツボをもう1つ紹介します。

内関 (ないかん)

  • 前腕内側で手首から3指あがったところの中央部です (図4参照)
  • 親指で押すとズーンと重たい感じが出る程度の圧で5秒、 左右とも3回繰り返して押してください。
  • 内関は乗り物酔いや妊婦の悪阻などに効果があるとされています。
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図4 内関の刺激方法 (筆者提供)

呼吸法と合わせるとより効果的

前回紹介した呼吸法と併せて行うと更に効果的です。

ツボを押しながら、 ゆっくり5秒かけて息を吐いていく▽3~5秒くらいかけて息を吸いながらツボ押しを解除していく――これを5回繰り返してください。 息を吐きながらツボを刺激すると、 ズーンとした感覚が心地良い響きとなりませんか?如何でしょうか。 少しリラックスしましたか?

先生方が普段、 仕事の合間、 疲れた時などに活用して頂ければ幸いです。

カズレーザーと学ぶ。 でも解説

なお、 2024年2月6日午後10時より放送予定の 「カズレーザーと学ぶ。 」 (日本テレビ系列) において 「鍼治療・ツボ押し 脳内オピオイドの効能」 を説明いたします。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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