能澤一樹 (名古屋市立大学大学院医学研究科共同研究教育センター臨床研究戦略部)
9ヶ月前
薬物療法の専門家による、 乳腺領域に役立つ情報をお届けする新連載が始まります。 第1回は、「乳腺領域で読むべき書籍5選」 をご紹介します。 (解説医師 : 名古屋市立大学大学院医学研究科 共同研究教育センター臨床研究戦略部 能澤一樹氏)
名古屋で開催された第21回日本臨床腫瘍学会学術集会 (JSMO2024) が2月24日に閉会しました。 特に今回は、 医学生や初期研修医の先生方が沢山参加されていた印象でした。 多くの方々が刺激を受けて、 「これから勉強しよう」 とモチベーションが上がっている時期ではないでしょうか。 そこで、 乳腺領域における読むべき書籍を5冊ご紹介します。
癌診療全般を学びたいとき、 治療方針に関して迷ったときに、 さっと手に取って確認する (学ぶ) ことができる、 必携の書と言っても良いでしょう。 発刊時点での最新のエビデンスに基づいた治療方針がコンパクトにまとまっています。 おおよそ3年毎と頻繁に改訂されますので、 最新版であることを確認してから購入しましょう。
表題には 「患者さんのための」 と記載がありますが、 乳癌の診断~治療を網羅した内容で、 丁寧に解説されていますので、 これから乳癌診療を学ぶ若手医師にとっても勉強になる1冊です。
良好な医師-患者関係を築くためには、 患者さんから質問を受けた時に、 いかに分かりやすく説明できるかということが非常に重要です。 本書からは、 どのような言葉を使えば分かりやすいか、 という点も学ぶことができます。
私が研修医の時に、 このような本があれば良かったなと思った本です。 国内有数の乳癌専門病院の医師によって執筆されたマニュアルで、 特に周術期 (=手術前後の期間) の治療や管理、 診察などについて丁寧に記載されているので、 本書を読むと臨床力が数段レベルアップすること間違いなしです。
薬物療法の苦手を克服するには、 いかにしっかりと副作用をマネージメントできるかどうかにかかっています。 本書では、 多数の専門医が薬物療法で起こり得る副作用への対応について丁寧に記載されています。 診療チームに1冊置いておくと、 患者さんも医師も、 より安心して薬物療法を行えるのではないでしょうか。
日本臨床腫瘍研究グループ (JCOG) の乳癌グループで長年リーダーを務めていた岩田広治先生 (愛知県がんセンター乳腺科部長) が著者である、 EBM (Evidence-Based Medicine) を超えた診療について、 エッセイのようにまとめられた1冊です。
乳癌診療において標準治療やエビデンスが重要であることは当然ですが、 いかに患者さんと向き合うかという点も日常診療では大事になります。 本書を読むことで、 著者の乳癌診療に対する想いを覗くことができます。 ページ数は少なめなので読み物として楽しむも良し、 医師としての考え方を学ぶも良し、 新しい視点が皆さんにも見つかると思います。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。