海外ジャーナルクラブ
1年前
Ahnらは、 治療歴のある小細胞肺癌患者を対象に、 二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体tarlatamabの有効性と安全性を第Ⅱ相試験DeLLphi-301で検討した。 その結果、 tarlatamabは持続的な客観的奏効を伴う抗腫瘍活性を示し、 生存成績も有望であった。 本研究はNEJM誌において発表されたと同時に、2023年10月20~24日にスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)で発表された。
本研究は第Ⅱ相試験でありコントロール群がありませんが、 すでにon goingで行われている別の第Ⅲ相試験(DeLLphi-304 trial)で比較検討されています。 また本試験の長期アウトカム結果についても公表が予定されているようです。
tarlatamabは、 治療歴のある小細胞肺癌患者を対象とした第Ⅰ相試験で有望な抗腫瘍活性を示した。
治療歴のある小細胞肺癌患者:220例
tarlatamab 10mgまたは100mgの用量で2週間ごとに静脈投与
Response Evaluation Criteria in Solid Tumors (RECIST) ver 1.1によって評価された客観的奏効 (完全奏効または部分奏効)
客観的奏効
データカットオフ時点の客観的奏効は、 10mg群では55% (40例中22例)、 100mg群で57% (28例中16例) 維持されていた。
無増悪生存期間 (PFS) 中央値
9ヵ月時点の全生存期間 (OS) の推定値
最も一般的な有害事象
サイトカイン放出症候群
食欲減退
発熱
サイトカイン放出症候群は主に治療1サイクル目に発現し、 ほとんどの患者でGrade1または2であった。 Grade 3のサイトカイン放出症候群は100mg群 (6%) よりも10mg群 (1%) の方が少なかった。
治療関連有害事象による投薬の中止
治療に関連した有害事象のためにtarlatamabの投薬を中止した患者の割合は3%であった。
前治療歴のある小細胞肺癌患者において、 tarlatamab 10mgの隔週投与は、 持続的な客観的奏効を伴う抗腫瘍活性を示し、 生存成績も有望であった。 新たな安全性シグナルも確認されなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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