海外ジャーナルクラブ
2年前
Pachecoらは、 帝王切開分娩を受けた患者を対象に、 トラネキサム酸の予防的使用の有効性をランダム化比較試験で検討。 その結果、 トラネキサム酸の予防的使用は、 プラセボと比較して、 母体死亡または輸血の複合転帰のリスクを有意に低下させなかった。 本研究はNEJMに発表された。
トラネキサム酸は、 もちろん局所線溶亢進にも効果があると言われていますが、 そのメカニズムからも全身性の線溶亢進状態に効果を発揮する薬剤です。 全体群で差がないので、 d-dimerレベルなどで層別化してみても面白いと思います。
帝王切開分娩時のトラネキサム酸の予防的使用は、 計算上の出血量を減少させることが示されているが、 輸血の必要性への影響は不明である。
対象:米国の31の病院で帝王切開分娩を受けた患者。
母体死亡または輸血の複合。
推定1L以上の術中出血、 出血および関連合併症に対する介入、 ヘモグロビン(Hb)値の術前術後変化、 産後の感染性合併症。
血栓塞栓症イベントおよびその他の有害事象の発生頻度は、 両群で同様であった。
帝王切開分娩時のトラネキサム酸の予防的使用は、 プラセボと比較して母体死亡または輸血の複合転帰のリスクを有意に低下させなかった。 今後の研究では、 出血量や輸血の必要性に関する他の要因に焦点を当てる必要がある。 また、 この研究は産科分野において、 トラネキサム酸の予防的使用に関する新たな知見を提供している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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