【EBioMedicine】HR陽性HER2低発現/HER2-0の転移乳癌、CDK4/6阻害薬+内分泌療法は有効?
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海外ジャーナルクラブ

4ヶ月前

【EBioMedicine】HR陽性HER2低発現/HER2-0の転移乳癌、CDK4/6阻害薬+内分泌療法は有効?

【EBioMedicine】HR陽性HER2低発現/HER2-0の転移乳癌、CDK4/6阻害薬+内分泌療法は有効?
Liらは、 HR陽性HER2低発現およびHER2-0の転移乳癌患者を対象に、 CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用による1次治療の有効性について、 二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験の二次解析で検討した。 その結果、 HER2低発現患者において無増悪生存期間 (PFS) の有意な延長が認められた。 本研究はEBioMedicineにて発表された。 

📘原著論文

Clinical efficacy of CDK4/6 inhibitor plus endocrine therapy in HR-positive/HER2-0 and HER2-low-positive metastatic breast cancer: a secondary analysis of PALOMA-2 and PALOMA-3 trials. EBioMedicine. 2024 Jul:105:105186. PMID: 38861871

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

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目的

CDK4/6阻害薬+内分泌療法は、 HER2低発現/HER2-0の転移乳癌にも有効?

現在、 CDK4/6阻害薬と従来の内分泌療法の併用は、 HR陽性HER2陰性の転移性乳癌に対する1次治療として推奨されている。 しかし、 HER2低発現およびHER2-0のサブグループにおいて、 内分泌療法にCDK4/6阻害薬を追加することの有益性は明らかになっていない。

そこで本研究は、 HR陽性で、 HER2低発現およびHER2-0の転移乳癌患者を対象として、 内分泌療法と併用したときのCDK4/6阻害薬の効果について検討することを目的とした。

方法

PALOMA-2、 PALOMA-3試験を再解析

二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験であるPALOMA-2およびPALOMA-3試験の二次解析を行った。

対象と評価

両試験に参加したHER2低発現*¹およびHER2-0*²の患者における無増悪生存期間 (PFS) を評価した。

解析対象は、 2013年2月~2014年8月に17ヵ国で登録されたHER2陰性HR陽性の女性患者で、 免疫組織化学 (IHC) および/またはin situ hybridization (ISH) の結果を利用可能な1,186例であった。 なお、 データ解析は2023年3月~5月に実施された。

*¹ 「IHC 1+」 または 「IHC 2+かつISH陰性」 と定義
*² 「IHC 0」 と定義

介入

PALOMA-2試験

HR陽性転移乳癌の1次治療として、 患者を以下のいずれかの群に無作為に割り付けた。

- パルボシクリブ+レトロゾール群

- プラセボ+レトロゾール群

PALOMA-3試験

前回の内分泌療法中に進行または再発した患者を、 以下のいずれかの群に無作為に割り付けた。

- パルボシクリブ+フルベストラント群

- プラセボ+フルベストラント群

結果

PALOMA-2ではHER2低発現でPFSが延長するも、 HER2-0では有意差認められず

転移乳癌患者666例のうち、 HER2-0の患者は153例、 HER2低発現の患者は513例であった。

HER2低発現の患者集団

パルボシクリブ+レトロゾール群では、 プラセボ+レトロゾール群に比べてPFSが有意に延長した。

ハザード比 : 0.52 (95%CI 0.41-0.66)、 
p<0.0001

HER2-0の患者集団

パルボシクリブ+レトロゾール群とプラセボ+レトロゾール群との間で、 PFSに有意差は認められなかった。

ハザード比 : 0.79 (95%CI 0.48-1.30)、
 p=0.34

PALOMA-3ではHER2-0・HER2低発現ともにPFS延長

転移乳癌患者530例のうち、 HER2-0の患者は153例、 HER2低発現の患者は367例であった。

HER2低発現の患者集団

パルボシクリブ+フルベストラント群では、 プラセボ+フルベストラント群に比べてPFSが有意に延長した。

ハザード比 : 0.39 (95%CI 0.28-0.54)、 
p<0.0001

HER2-0の患者集団

パルボシクリブ+フルベストラント群では、 プラセボ+フルベストラント群に比べてPFSが有意に延長した。

ハザード比 : 0.54 (95%CI 0.30-0.95)、 
p=0.034

解釈

利益を得られる患者集団の同定はさらなる研究を

著者らは 「CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用は、 HER2低発現患者でPFSを有意に改善した。 一方、 HER2-0の患者で 効果がみられたのは、 主に前回の免疫療法で進行がみられた患者であった。

さらにHER2-0の患者では、 CDK4/6阻害薬による1次治療で得られる利益が限定的であるかもしれない。 今回得られた知見を検証し、 CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用による1次治療から最も利益を得られる患者部分集団を明らかにするには、 さらなる研究が必要である」 と考察している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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