【NEJM】未治療CLL、ベネトクラクス+オビヌツズマブが免疫化学療法よりも優れる
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海外ジャーナルクラブ

12ヶ月前

【NEJM】未治療CLL、ベネトクラクス+オビヌツズマブが免疫化学療法よりも優れる

【NEJM】未治療CLL、ベネトクラクス+オビヌツズマブが免疫化学療法よりも優れる
Eichhorstは、 慢性リンパ性白血病 (CLL) の患者を対象に、 一次治療としてのベネトクラクス併用療法と免疫化学療法の有効性を非盲検第Ⅲ相試験で比較。 その結果、 CLL患者への一次治療として、 ベネトクラクス+抗CD20抗体オビヌツズマブの併用が免疫化学療法より優れた結果を示した。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

First-Line Venetoclax Combinations in Chronic Lymphocytic Leukemia.N Engl J Med. 2023 May 11;388(19):1739-1754. PMID: 37163621

👨‍⚕️監修医師のコメント

CLLは欧米で患者数が多いため、 多くの研究成果が目まぐるしい勢いで報告されています。 感染症合併症とのバランスを見ながら3剤、 ないし2剤による治療が選択されそうです。 少し面白いのが、 本研究のp値は次のように定義されています。 P value of less than 0.025 was considered to indicate statistical significance.

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背景

進行したCLLの適合患者 (併存疾患の負担が少ない患者) に対する一次治療として、 ベネトクラクスと抗CD20抗体のランダム化比較試験が不足していた。

研究デザイン

対象

TP53異常のないCLLの適合患者:926例

介入

患者を以下の4つの治療レジメンに無作為に割り付け。

  • 免疫化学療法 (6サイクル) :229例
  • ベネトクラクス+リツキシマブ (12サイクル) :237例
  • ベネトクラクス+オビヌツズマブ (12サイクル) :229例
  • ベネトクラクス+オビヌツズマブ+イブルチニブ (12サイクル) :231例

主要評価項目

15カ月目に末梢血のフローサイトメトリーで評価した検出不能な微小残存病変 (MRD) の陰性と無増悪生存期間 (PFS)

研究結果

MRD陰性患者の割合

ベネトクラクス+オビヌツズマブ群 (86.5%、 97.5%CI 80.6-91.1%) 、 ベネトクラクス+オビヌツズマブ+イブルチニブ群(92. 2%、 97.5%CI 87.3-95.7%)においては免疫化学療法 (52.0%、 97.5%CI 44.4-59.5%、 両群比較のP<0.001) よりも有意に高かったが、 ベネトクラクス+リツキシマブ (57.0%、 97.5%CI 49.5-64.2%、 P=0.32) に比べ有意差はなかった。

3年PFS

ベネトクラクス-オビヌツズマブ-イブルチニブ群が最も高く90.5%、 化学免疫療法群で75.5%であった。

  • 病勢進行または死亡のHR 0.32、 97.5%CI 0.19-0.54、 P<0.001

3年PFSはベネトクラクス+オビヌツズマブ群 (87.7%、 病勢進行または死亡のHR 0.42、 97.5%CI 0.26-0.68、 P<0.001) においても有意に高かったが、 ベネトクラクス+リツキシマブ群 (80.8%、 病勢進行または死亡のHR 0.79、 97.5%CI 0.53-1.18、 P=0.18) は高率なものの有意ではなかった。

グレード3およびグレード4の感染症

化学免疫療法 (18.5%) およびベネトクラクス+オビヌツズマブ-イブルチニブ (21.2%) で、 ベネトクラクス+リツキシマブ (10.5%) およびベネトクラクス+オビヌツズマブ (13.2%) より多くみられた。

結論

イブルチニブを併用または併用しないベネトクラクス+オビヌツズマブは、 CLLの適合患者における一次治療として免疫化学療法より優れていた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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