HOKUTO編集部
7日前
cCRT後にPDを認めなかった限局型小細胞肺癌 (LS-SCLC) に対する抗PD-1抗体デュルバルマブ±抗CTLA-4抗体トレメリムマブ地固め療法の有効性および安全性について、 プラセボを対照に評価した第Ⅲ相国際共同二重盲検無作為比較試験ADRIATICのサブグループ解析結果が報告され、 日本人集団においてもOSの改善が示された。国立がん研究センター東病院呼吸器内科医長の善家義貴氏が発表した。
ADRIATIC試験の全集団の初回中間解析(データカットオフ : 2024年1月15日) では、 デュルバルマブ群とプラセボ群において、 主要評価項目である全生存率(OS)と無増悪生存率(PFS)の有意な改善が認められたことが、 今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2024)で既に報告されている。
今回は、 第1回中間解析(データカットオフ : 2024年1月15日)の日本人サブグループ解析結果が報告された。
全集団と日本人集団、 および両群間でベースライン時の患者背景は概ね同様であったが、 全集団と比べて日本人集団では同時化学放射線療法(cCRT)時のシスプラチン (CDDP) 投与割合、 および放射線照射回数が1日2回の割合が高かった。
また、 日本人集団のデュルバルマブ群では65歳以上の割合が74%と、 プラセボ群 (39%) と比べて高齢な傾向にあり、 WHO PS0の割合も高かった。
日本人集団において24ヵ月の治療を完了した割合は、 デュルバルマブ群52.6%、 プラセボ群35.5%、 PDによる治療中止はそれぞれ21.1%、 48.4%であった。
OS中央値において、 日本人集団でも全集団と同様に改善が認められた。
HR 0.67(95%CI 0.24-1.62)
2年時OS率 / 3年時OS率はそれぞれ、 デュルバルマブ群で67.4% / 67.4%、 プラセボ群で74.2% / 58.1%だった。
BICR評価によるRECISTv1.1に基づくPFSにおいては改善が認められなかった。 一方で、 担当医の評価に基づくPFSでは良好な傾向が認められた。
BICR評価によるRECISTv1.1に基づくPFS
HR 1.05(95%CI 0.44-2.36)
担当医の評価に基づくPFS
HR 0.68(95%CI 0.28-1.51)
Grade3/4の有害事象 (AE) はデュルバルマブ群21.1%、 プラセボ群19.4%、 投与中止に至ったAEはそれぞれ21.1%、 9.7%、 免疫介在性有害事象はそれぞれ47.4%、 12.9%であった。
日本人集団では肺臓炎/放射線肺臓炎の発現割合が多く、 デュルバルマブ群52.6%(10例)、 プラセボ群45.2%(14例)に認められ、 そのうち治療中止に至ったのはそれぞれ3例、 2例であった。
善家氏は 「cCRT後のLS-SCLCに対するデュルバルマブ地固め療法は、 日本人集団でも臨床的意義のあるOSの改善を示し、 担当医医師評価のPFSも良好な結果を示した。 また、 新たな安全性シグナルは認められなかった。 本解析の結果より、 cCRT後のデュルバルマブ地固め療法が、 日本人においてもLS-SCLCに対する有用な治療選択肢であることが示された」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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