HOKUTO編集部
2ヶ月前

日本癌学会は2月9日、 喫煙による寿命短縮についての従来の報告を、 英国の最新の疫学データを基に再評価した解説論文 (Editorial) ¹⁾を紹介。 喫煙と癌をはじめとする健康に関連する国内外のさまざまな論文を同学会の喫煙対策委員会が定期的に紹介していく取り組みの一環として、 今回はAddiction誌に掲載された同論文が取り上げられた。
BMJ誌において2000年に、 タバコ1本を喫煙するごとに寿命が平均11分短縮するという推定結果が報告された²⁾。
当時の死亡率推定は、 英国男性医師により1991年まで40年間追跡された疫学データ (British Doctors Study) のみに依存しており、 また、 生涯の喫煙本数の推定は、 1996年時点で17~71歳の男性における1日平均15.8本という数値に基づいていた。
そのため現在では、 より質の高い最新の疫学データが報告されており、 アップデートが求められていた。
今回の報告は、 British Doctors Studyの50年間追跡調査 (2001年まで) による男性の死亡転帰データおよび英国で実施された100万人女性研究 (Million Women Study) による女性の死亡転帰データ (2011年まで) を基に再評価が行われたものである。
前述のBMJ誌で2000年に報告された先行研究では、 禁煙しなかった喫煙者は寿命が平均6.5年短縮するとされていたが、 今回の研究では、 社会経済的地位などの重要な交絡因子を調整後、 平均して男性では約10年、 女性では約11年の寿命が短縮することが示された。
1996年時点で女性の1日の喫煙本数は平均13.6本であり、 他の条件が同じ場合、 タバコ1本につき寿命が約20分 (男性17分、 女性22分) 短縮すると想定された。
また、 システマティックレビューにおいて、 喫煙者は寿命短縮年数とほぼ同じ年数の健康寿命も短縮することが示唆されている。
寿命の短縮は人生の終末期ではなく比較的健康な中年期に顕著であり、 この 「死のエスカレーター」 から早く降りれば降りるほど、 より長く健康的な生活が期待できるとされた。
このほか、 疫学データでは、 喫煙による害は累積的であり、 早く禁煙し、 喫煙しないタバコの本数が多いほど寿命が延びることが示されている。
例えば1月1日に10本/日を喫煙していた人が禁煙すれば、 1月8日には1日、 2月20日には1週間、 8月5日には1か月、 年末には50日分の寿命短縮を回避できる可能性がある。
同学会は今回、 紹介者として担当委員の医師3人*からの以下のようなコメントも併せて紹介している。
💬2000年にBMJ誌にて報告された 「タバコ1本につき寿命が約11分短縮」 が、 今回の研究で 「タバコ1本につき寿命が約20分短縮」 へと推移しているが、 最新の疫学データであるBritish Doctors Studyの追跡調査結果およびMillion Women Studyの結果も考慮されているために生じた変化である可能性がある。 また、 タバコ1本あたりの寿命に与える影響が増大した理由として、 タバコ製品自体の変容や人々の行動様式の変化、 そこに関わる社会規模の出来事などが関係している可能性が考えられる。
💬喫煙により寿命だけでなく健康寿命も短縮するということで、 老後の話ではなく、 目の前の 「今」 に直結している。
💬 「タバコ1本につき寿命が約20分短縮」 という本研究の結論には大きな訴求力があり、 健康寿命の延伸に禁煙が重要であることをあらためて認識させられる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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