【新薬説明会】真性多血症治療薬 「ロペグインターフェロンα-2b」 が発売
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HOKUTO編集部

11ヶ月前

【新薬説明会】真性多血症治療薬 「ロペグインターフェロンα-2b」 が発売

【新薬説明会】真性多血症治療薬 「ロペグインターフェロンα-2b」 が発売
ファーマエッセンシアジャパン 代表取締役社長 米津克也氏

新規の長時間作用型モノペグ化プロリンインターフェロンである「ロペグインターフェロン アルファ(α)-2b」 (商品名ベスレミ®) が先月(2023年5月)24日の薬価承認を経て、 今月1日に発売された。 適応は、 真性多血症であり、 既存治療が効果不十分または不適当な場合に限るとされる。

これを受け、 開発元で台湾発のグローバル・バイオファーマの日本法人であるファーマエッセンシアジャパンは、 今月14日、 メディアセミナーを開催した。 

世界初の部位選択的モノペグ化技術

ロペグインターフェロン α-2bは、 世界で初めて、 部位選択的にポリエチレングリコール(PEG)をインターフェロン(IFN)α-2bに結合させた遺伝子組み換えインターフェロンα-2b製剤である。

ファーマエッセンシアジャパン代表取締役社長の米津克也氏によると、 同社の独自技術である「部位選択的モノペグ化技術」は、 タンパク質分子内の特定のアミノ酸をPEGという高分子化合物によって、 選択的に修飾できるようにしたもの。

従来の技術では、 タンパク質分子内の異なる部位のアミノ酸がペグ化された「ペグ化タンパク質」が混在し不均一性が生じていたが、 部位選択的モノペグ化技術は化学的に均一な「ペグ化タンパク質」の合成を可能にした。 これによりペグ化されたタンパク質医薬品の体内における分解が抑制され、 半減期の延長と長時間にわたる効果の持続が期待される。

また単一の異性体 (アイソマー) となったことから、 従来の複数アイソマーの混在比率等に起因する薬剤の有効性・安全性への影響の懸念がないという。

適応のPV症例は年間1,000例弱が発症

【新薬説明会】真性多血症治療薬 「ロペグインターフェロンα-2b」 が発売
桐戸敬太氏

なお、 今回適応となった真性多血症(PV)は、 骨髄増殖性腫瘍の一種で、 骨髄の造血幹細胞の異常により、 赤血球が過剰に産生される希少性の血液疾患。 国内では、 年間1,000例弱が発症していると推定される。

PV は、 遺伝子変異によって発症すると考えられており、 ほぼ全てのPV患者で造血幹細胞中のJAK2遺伝子に主に「JAK2 V617F」変異が生じ、 著しい赤血球の増加をきたす。

特に 60 歳以上の成人に多く認められるが、 60歳未満の比較的若年者も少なくない。

また症状は、 頭痛、 疲労、 脱力感、 浮動性めまいなど多様だが、 心筋梗塞や脳卒中などの血栓症を合併する可能性もある。

また、 一部の患者は疾患が進行し、 骨髄線維症や白血病に移行、 他の悪性腫瘍の併発が大きな課題とされている。

真性多血症の治癒の可能性も期待

同セミナーで「真性多血症治療の新たな地平」と題した基調講演を行なった山梨大学血液・腫瘍内科教授の桐戸敬太氏は、 現在のPV治療ガイドラインはあくまでも血栓の予防が第一目標であるが、 「ロペグインターフェロン α-2bの登場により、 単に血球減少・血症予防のみでなくPVの治癒の可能性も期待される」と述べた。

なおロペグインターフェロン α-2bの有効性および安全性については、 主に以下の臨床試験で示されている。

📊国内第Ⅱ相試験

📊海外第Ⅰ/Ⅱ相試験

📊海外第Ⅲ相試験 [継続試験]

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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