【APHINITY試験】HER2陽性乳癌術後におけるペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法
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HOKUTO編集部

1年前

【APHINITY試験】HER2陽性乳癌術後におけるペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法

【APHINITY試験】HER2陽性乳癌術後におけるペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法
根治手術を受け、 組織学的に浸潤性HER2陽性と確認された乳癌患者において、 術後療法におけるペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法の効果を、 プラセボ+トラスツズマブ+化学療法を対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験APHINITYの結果より、 浸潤性疾患のない生存期間 (IDFS) に対する有効性が示された。

原著論文

▼中間解析結果

Adjuvant Pertuzumab and Trastuzumab in Early HER2-Positive Breast Cancer. N Engl J Med. 2017 Jul 13;377(2):122-131. PMID: 28581356

▼追跡結果

Adjuvant Pertuzumab and Trastuzumab in Early HER2-Positive Breast Cancer in the APHINITY Trial: 6 Years' Follow-Up. J Clin Oncol. 2021 May 1;39(13):1448-1457. PMID: 33539215

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APHINITY試験の概要

対象

根治手術を受け、 組織学的に浸潤性HER2陽性と確認された乳癌患者

方法

4,805例を以下の2群に1:1で割り付けた。

  • ペルツズマブ群 (2400例)
ペルツズマブ初回840㎎、 2回目以降は420㎎を3週毎に投与+トラスツズマブを最大18サイクル、 化学療法
  • プラセボ群 (2405例)
プラセボ+トラスツズマブを最大18サイクル、 化学療法

ペルツズマブ群、 プラセボ群ともに術後化学療法を併用した。

放射線療法は化学療法終了時に臨床的適応に応じて行われ、 抗HER2療法 (トラスツズマブ) と併用された。

評価項目

主要評価項目

  • IDFS

副次評価項目

  • 乳癌以外の続発性原発癌をイベントとして含むIDFS
  • 無病生存期間 (DFS)
  • 全生存期間 (OS)
  • 再発までの期間 (RFS) 
  • 無遠隔転移生存期間 (DRFS) 
  • 安全性

APHINITY試験の結果

患者背景

  • 両群で同様であった。
  • 63%がリンパ節転移陽性、 36%がホルモン受容体陰性であった。

IDFS (6年時イベント数)

  • ペルツズマブ群:221例 (9.2%)
  • プラセボ群:287例 (11.9%)
HR 0.76 (95%CI 0.64-0.91)

初回IDFSイベントの大半は遠隔再発であり、 ペルツズマブ群 (5.9%) ではプラセボ群 (7.7%) よりも遠隔再発が少なかった。

IDFS率 (3年時、 6年時) 

  • ペルツズマブ群:94.1%、 91.0%
  • プラセボ群:93.2%、 88.0%

IDFS率 (6年時) のサブグループ解析

リンパ節転移陽性患者

  • ペルツズマブ群:88.0%
  • プラセボ群:83.0%

リンパ節転移陰性患者

  • ペルツズマブ群:95.0%
  • プラセボ群:95.0%

乳癌以外の続発性原発癌をイベントとして含むIDFS率 (3年時) 

  • ペルツズマブ群:93.5%
(95%CI 92.5-94.5%)
  • プラセボ群:92.5%
(95%CI 91.4-93.6%)
HR 0.82 (95%CI 0.68-0.99)、 p=0.043

OS (6年時イベント数)

  • ペルツズマブ群:125例 (5.2%)
  • プラセボ群:147例 (6.1%)
HR 0.85 (95%CI 0.67-1.07)、 p=0.17

OS率 (6年時) 

  • ペルツズマブ群:95.0%
  • プラセボ群:94.0%

RFS率 (3年時) 

  • ペルツズマブ群:95.2%
  • プラセボ群:94.3%
HR 0.79 (95%CI 0.63-0.99)、 p=0.043

DRFS率 (3年時)

  • ペルツズマブ群:95.7%
  • プラセボ群:95.1%
HR 0.82 (95%CI 0.64-1.04)、p=0.101

有害事象 (AE)

心疾患に関連した致死的なAEは、 ペルツズマブ群で2件、 プラセボ群で4件であった。

治療関連AE (グレード3以上) の発現率

  • ペルツズマブ群:64.2%
  • プラセボ群:57.3%

著者らの結論

根治手術を受け、 組織学的に浸潤性HER2陽性と確認された乳癌患者の術後療法において、 ペルツズマブを化学療法およびトラスツズマブに追加投与を行うと、 IDFSが有意に改善することが示された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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