【NCCNガイドライン最新解説】急性リンパ性白血病
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HOKUTO編集部

11ヶ月前

【NCCNガイドライン最新解説】急性リンパ性白血病

【NCCNガイドライン最新解説】急性リンパ性白血病
本コンテンツはNational Comprehensive Cancer Network (NCCN) のガイドラインについて、 専門医の視点からわかりやすい解説を行う企画です。 最新の情報が紹介されておりますので、 是非とも臨床の参考としていただければ幸いです。
本稿はNCCNガイドライン Version 1.2023を基に作成しています (閲覧日 : 2023年12月26日)

解説医師

【NCCNガイドライン最新解説】急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病のリスク分類

NCCNガイドラインにおいて、 急性リンパ性白血病 (ALL) は通常リスクと高リスクに分けられている。 以前と比較すると特定の遺伝子変異に基づいたものが増えており、 保険適用としては検査が難しいものも多いが、 今後は本邦においても造血器遺伝子パネル検査の導入が期待される。

Ph陽性B細胞性急性リンパ性白血病 (B-ALL) はチロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) の効果もあり、 全体は通常リスクとなっているが、 IKZF1 plusがあると高リスクとなる。 その他、 フィラデルフィア染色体様急性リンパ性白血病 (Ph-like ALL) が予後不良であるということも近年一つの話題となっているが、 こちらも本邦では評価が困難という問題がある。

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NCCNガイドライン Version 1.2023を基に作成

急性リンパ性白血病の治療

初回治療

▼Ph陽性B-ALL

TKIについては副腎皮質ステロイド薬もしくは多剤併用療法との併用が推奨されている。 TKIについては国によって選択可能な薬剤が異なっている状況が続いている。

寛解導入療法後に微小残存病変 (MRD) が残存するもしくは上昇してくる際には、 ブリナツモマブを含む救援療法が一般的に選択されると考えられるが、 初回治療で用いていないTKI+多剤併用化学療法も選択肢として考えられる。 その後は、 同種造血幹細胞移植 (HCT) が勧められる。

寛解導入療法後にMRDが陰性化した場合の選択肢も興味深い。 ブリナツモマブ併用療法がここで取り上げられており、 MRD陰性が続く場合にはHCTが必ずしも勧められなくなってきている状況がある。

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NCCNガイドライン Version 1.2023を基に作成

▼Ph陰性B-ALL

若年者に関しては、 いわゆる 「pediatric-inspired regimen」 が推奨され、 MRD陰性の際には維持療法まで行えれば必ずしもHCTは推奨されない。

それよりも高齢の方では通常の多剤併用療法が選択される。 そこでもMRDの評価に基づいた治療選択の流れが記載されているが、 「pediatric-inspired」 でない場合にはMRD陰性を維持できる可能性は低くなり、 よりHCTの選択が重要となる。 ここでもMRDが残存もしくは上昇する場合にはブリナツモマブが推奨され、 その後のHCTが推奨されている。

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▼T-ALL

T細胞性急性リンパ性白血病 (T-ALL) においても基本的にはPh陰性B-ALLと似た流れではあるが、 ブリナツモマブのようにMRD陽性時に有効性の高い薬剤がないのが問題である。

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再発/難治症例の治療

▼Ph陽性B-ALL

再発/難治症例では遺伝子変異の解析に基づいてTKIの選択を最適化することが重要である。 NCCNのガイドラインでもいわゆる新薬 (ブリナツモマブ、 イノツズマブオゾガマイシン、 CAR-T細胞療法) が選択肢の中心として挙げられている。 ブリナツモマブやイノツズマブオゾガマイシンについてはTKIと併用できない理由がなければ併用されることが多いと考えられる。

▼Ph陰性B-ALL

Ph陰性B-ALLについてはTKIがない以外は、 ほぼPh陽性B-ALLと同様の治療選択肢となる。

▼T-ALL

T-ALLにおいてはB-ALLと比較すると有効性が下がるが、 ネララビン併用療法などが有力な選択肢となる。 ボルテゾミブ併用療法は本邦ではやはり適応外ではあるが有効性の報告もある。 ダラツムマブやベネトクラクスについてもやはり適応外であるが、 ボルテゾミブより少数例での結果しか報告されていない。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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