HOKUTO編集部
1ヶ月前

ST上昇型心筋梗塞 (STEMI) でprimary PCIを施行する患者において、 アスピリンを省略した低用量プラスグレル単剤療法と12ヵ月間のアスピリンとプラスグレルによる抗血小板薬2剤併用療法 (DAPT) を比較した、 日本の医師主導による無作為化比較試験PREMIUMの結果が報告された。同試験では、 主要評価項目である12ヵ月時点の全死亡・脳卒中・心筋梗塞の複合アウトカムにおいて、 DAPTに対するプラスグレル単剤療法の非劣性は示されなかった。近畿大学循環器内科学主任教授・診療部長の中澤学氏が発表した。同試験の詳細は、 N Engl J Med誌2026年8月29日オンライン版¹⁾に掲載された。
STEMIに対するPCI後の標準的なDAPT期間は12ヵ月であり (高出血リスク例では1~3ヵ月)、 通常はアスピリンと強力なP2Y12阻害薬を用いたDAPTが行われている。 一方、 選択された一部の患者において、 DAPT期間を短縮してP2Y12阻害薬の単剤療法に移行する戦略が出血を減らす選択肢として確立されつつある。
また、 STEMIでは虚血イベントと出血イベントがいずれもprimary PCI直後に集中して起こる。こうした中、 STEMIにおいてprimary PCI時点からアスピリンを省略する戦略を標準的な12ヵ月間のDAPTと比較したデータが不足していた。
発症12時間以内のSTEMIでエベロリムス溶出性プラチナクロムステントを用いたprimary PCIが予定されている患者2,268例を、 primary PCI前に1 : 1で以下の2群に無作為に割り付けた。
主要評価項目は12ヵ月時の全死亡・脳卒中・心筋梗塞の複合で、 非劣性マージンはHR 1.50とした。主要な副次評価項目はBARC type 3または5の大出血で、 主要評価項目で非劣性が示された場合にのみ優越性を検定する階層的な検定手順が事前に規定されていた。
最大解析対象集団は2,216例 (プラスグレル単剤群1,109例、 DAPT群1,107例) で、 平均年齢69.4歳、 男性76.6%であった。 また、 35.9%がARC-HBRの高出血リスクに該当した。
12ヵ月時の主要評価項目はプラスグレル単剤群で124例 (Kaplan-Meier推定値11.0%)、 DAPT群で94例 (同8.5%) に発生した (HR 1.34 [95%CI 1.02-1.75]、 非劣性のp=0.40)。 95%CIの上限は1.75で事前に規定された非劣性マージン1.50を上回り、 DAPTに対するプラスグレル単剤の非劣性は示されなかった。
BARC type 3または5の大出血はプラスグレル単剤群で61例 (5.6%)、 DAPT群で92例 (8.4%) に発生した (HR 0.66 [95%CI 0.47-0.91] )。 主要評価項目で非劣性が示されなかったため、 優越性の検定は行われなかった。
個別の評価項目の発生率については、 心筋梗塞がプラスグレル単剤群で2.9%、 DAPT群で1.3% (HR 2.24 [95%CI 1.19-4.21])、 非標的病変の血行再建術がそれぞれ4.9%、 2.9% (HR 1.62 [95%CI 1.04–2.52])で、 DAPT群と比べてプラスグレル単剤群での頻度が高かったが、 ステント血栓症 (definite/probable) はそれぞれ1.4%、 1.5%で差はなかった (HR 0.94 [95%CI 0.46–1.89])。
安全性解析対象集団において、 重篤な有害事象はプラスグレル単剤群で180例 (17.2%)、 DAPT群で181例 (16.5%) に発生し、 両群で同程度だった。
中澤氏は、 本試験の限界として非盲検デザインであること、 心筋梗塞やステント血栓症を含む個々の臨床アウトカムを評価するのに十分な統計学的検出力を有していなかったことなどを挙げた上で、 PREMIUM試験の結果はSTEMIに対するprimary PCI時点でのアスピリン省略を支持するものではないと結論付けた。
1) N Engl J Med. 2026年8月29日オンライン版
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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