【PLoS One】向精神薬の使用率は高所得国で高い傾向
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【PLoS One】向精神薬の使用率は高所得国で高い傾向

【PLoS One】向精神薬の使用率は高所得国で高い傾向
Alabakuらは、 高・中・低所得国における抗うつ薬 (AD)、 非定型抗精神病薬 (AAP)、 ベンゾジアゼピン (BZD) の使用傾向を横断研究で検討。 その結果、 使用傾向には経済的な差が見られ、 高所得国において向精神薬の治療使用率が高いことが明らかとなった。 本研究はPLoS One誌において発表された。 

📘原著論文

Global trends in antidepressant, atypical antipsychotic, and benzodiazepine use: A cross-sectional analysis of 64 countries. PLoS One. 2023 Apr 26;18(4):e0284389. PMID: 37099524

👨‍⚕️監修医師のコメント

横断研究において、 かなり制限の強いデータセットを用いることはかえって難しい側面を露呈してしまいます。 本研究ではFurthermore, due to the lack of patient characteristics, our study could not take into account indications for treatment.など、 個別データがないために本研究結果に至った理由などを含めて詳細が不明のままです。


研究デザイン

対象

64カ国 (高所得国:33カ国、 中所得国:6カ国、 低所得国:25カ国)

解析方法

  • 薬剤クラスごとの使用率の変化は、 2014年7月〜19年7月で算出。
  • 国のベースラインの薬物分類ごとの使用率と経済状況を予測変数として用いて、 ベースラインからの変化の予測可能性を評価するための線形回帰分析を実施。

研究結果

人口規模ごとの薬剤の平均使用率 (標準単位)

AD

  • 高所得国:2.15
  • 中所得国:0.35
  • 低所得国:0.38

AAP

  • 高所得国:0.69
  • 中所得国:0.15
  • 低所得国:0.13

BZD

  • 高所得国:1.66
  • 中所得国:1.46
  • 低所得国:0.33

経済状態別の薬剤の平均使用変化率

AD

  • 高所得国:20%
  • 中所得国:69%
  • 低所得国:42%

AAP

  • 高所得国:27%
  • 中所得国:78%
  • 低所得国:69%

BZD

  • 高所得国:-13%
  • 中所得国:4%
  • 低所得国:-5%

経済状態と薬剤使用率の関係

国の経済状態が良くなると、 AD (p=0.916)、 AAP (p=0.23)、 BZD (p=0.027) の使用量の変化率が減少するという関連性が見られた。

ベースライン使用率と変化率の関係

ADとAAPのベースライン使用率が増加すると、 変化率は減少した (AD:P=0.026、 AAP:P=0.054)。

BZDについては、 ベースラインの使用率が増加するにつれて、 変化率は増加した (P=0.038)。

結論

高所得国は低・中所得国と比較して、向精神薬の治療利用率が増加している。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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