海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Tabrizらは、 限局性前立腺癌 (PCa) 患者を対象に、 ゲノム分類 (GC) 検査がリスク分類および治療選択に及ぼす影響をシステマティックレビューで検討した。 その結果、 GC検査はこれらに一貫した影響を及ぼさず、 1次治療を検討しているPCa患者に対する臨床的有用性を明確にするには、 十分にデザインされた試験が必要であることが示唆された。 本研究はAnn Intern Med誌において発表された。
Risk of Bias (ROB、 偏りのリスク) も中程度から高レベルであり、 まだまだ現時点ではなんとも言えないというところかと思います。
PCaの治療選択は、 適切なリスク層別化に基づく共同意思決定 (SDM) が重要である。
近年、 Decipher、 Oncotype DX Genomic Prostate Score (GPS)、 ProlarisなどのGC検査が開発されたが、 臨床的有用性は不明確である。
MEDLINE、 EMBASE、 Web of Scienceから、 1次治療を検討している限局性PCa患者に対するGC検査後のリスク分類および治療選択に関する研究を抽出し、 ROBを評価した。
観察研究と無作為化比較試験 (RCT) のデータを統合し、 GC検査がリスク分類および治療選択に及ぼす影響をシステマティックレビューで検討した。
10件の研究でGC検査後のリスク再分類が報告された。
ROBの低い観察研究では、 超低リスクまたは低リスクの患者が、 同等のリスク分類、 またはより低いリスクに再分類される可能性が高かった (GPS : 100-88.1%、 Decipher : 87.2-82.9%、 Prolaris : 76.9%)。
1件のRCTでは、 GPSを用いたGC検査により超低リスク患者の34.5%、 低リスク患者の29.4%が高リスクに再分類された。
12件の観察研究では、 GC検査後に治療方針が変わらないか、 積極的監視がわずかに優先されることが示された。
一方で、 1件のRCTでは、 GC検査後に積極的監視の選択が少ないことが示された。
スクリーニングのパターン、 リスク判定のカットオフ、 病理、 および臨床実践には不均一性があった。 また、 治療選択に関する研究のROBは中程度から高レベルであった。
著者らは 「本レビューでは、 GC検査が限局性PCa患者のリスク分類や治療選択に一貫した影響を及ぼさないことが示された。 観察研究とRCTにおいて得られた結果の相違は、 1次治療を検討しているPCa患者に対するGC検査の臨床的有用性を明確にするには十分にデザインされた試験が必要であることを示唆した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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