HOKUTO編集部
8ヶ月前
「発熱性好中球減少症 (FN) 診療ガイドライン改訂第3版」 が2024年2月に発刊された。 前版である改訂第2版に関するアンケート結果などを参考に、 新たな評価アルゴリズムが提案されている。 第21回日本臨床腫瘍学会では、 秋山暢氏が、リスク評価法について解説した。
MASCCスコアは重症化リスクが低い患者選択に有用であるとされるものの、 同スコアを用いて低リスクと判定された症例において、 死亡を含む重大な合併症が10%程度に認められた。
秋山氏は、「この問題は以前から指摘されており、 10%をいかに拾い上げていくかが長年の課題であった」 と説明した。
参考:MASCCスコアの項目と判定基準
そこで改訂第3版では、 新たに3つの評価基準を新設した "外来治療が可能なFN患者を選別するためのアルゴリズム" が提案された。
まず、 高リスク症例をリスク評価の対象外とし、 低リスク症例の中から外来治療が可能と推定される候補を 「身体的リスク」 「心理・社会的リスク」 の2観点で評価し、 外来治療候補を選定することとされた。 このようなプロセスにより、 MASCCスコアやCISNEスコア単独では低リスクと判断されない方針になっているという。
【旧】CQ改訂前¹⁾
【新】CQ改訂後²⁾
参考:CISNEスコアの項目と判定基準
続けて秋山氏は、 改訂第3版のCQ1で新規提案された3段階のFNリスク評価法について説明した。
FNの高リスク症例を除外する
入院中の患者はリスク分類が不要であり、 最初に除外することとされた。 また、 以下のいずれかに該当する患者は入院での治療を行い、 入院患者と同様に❷以降のフローチャートからは除外することとされた。
MASCCスコアやCISNEスコアを利用する
以下のうち1つでも当てはまる症例は高リスクに分類することとされた。なお、 MASCCスコアが21以上であっても、 併存疾患または抗癌治療による有害事象が1つでもあれば、 外来治療候補から除外されるという。
本人の状態や看護者の有無から判断する
この評価プロセスでは、 本人同意があるか、 医師の指示に従えるか、 同居看護者がいるか、 緊急時に本人と看護者はすみやかに対応できるか、 意思疎通が良好かなどが重要視される。 以下の全8項目のうち1つでも項目を満たさない場合は外来治療候補から除外することとされた。
改訂第3版において、 FNの外来治療が可能な候補は、 以下を満たす症例であるとされる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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