【TALAPRO-2】mCRPCへのタラゾパリブ+ENZ、 mOSは1次治療で45.8ヵ月と最長に
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HOKUTO編集部

4ヶ月前

【TALAPRO-2】mCRPCへのタラゾパリブ+ENZ、 mOSは1次治療で45.8ヵ月と最長に

【TALAPRO-2】mCRPCへのタラゾパリブ+ENZ、 mOSは1次治療で45.8ヵ月と最長に
転移性去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC) に対する1次治療としてのPARP阻害薬タラゾパリブ(TLZ) +エンザルタミド (ENZ) 併用療法の有効性と安全性をプラセボ+エンザルタミドを対照に検討した第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験TALAPRO-2。 同試験のOS最終解析結果が報告され、 HRR遺伝子変異の有無に関わらないコホート1において、 OSの有意な改善が認められた。 米・Huntsman Cancer InstituteのNeeraj Agarwal氏が発表した。 

背景

初回解析でrPFSの有意な改善は報告済

TALAPRO-2試験は、 mCRPCに対するPARP阻害薬+アンドロゲン受容体シグナル阻害薬 (ARSI) 併用療法の有効性と安全性を評価した第Ⅲ相試験であり、 ①HRR遺伝子変異の有無を問わないコホート1、 ②HRR遺伝子変異陽性のコホート2の両群において、 放射線学的無増悪生存期間 (rPFS) を改善することがすでに報告されている¹⁾²⁾。

試験の概要

コホート1のOS最終解析結果が報告

本試験は、 コホート1 (HRR遺伝子変異の有無を問わない全患者集団) とコホート2 (HRR遺伝子変異陽性患者) で実施されており、 ASCO GU 2025のOral Sessionでは、 ではコホート1の全805例 (併用群402例、 プラセボ群403例) におけるOS最終データとrPFSのアップデート解析結果が報告された*。

*コホート2の結果はPoster Session(LBA141)で発表されている。

試験の結果

アップデート解析でのrPFS中央値は33.1ヵ月で既報の結果を支持

2022年8月をデータカットオフとした1次解析では、 rPFS中央値は併用群がNR、 プラセボ群が21.9ヵ月であった。

今回報告された2024年9月をデータカットオフとしたアップデート解析では、 rPFS中央値は併用群が33.1ヵ月(95%CI 27.4-39.0ヵ月)で、 プラセボ群の19.5ヵ月(同 16.6-24.7ヵ月)と比較し有意な改善が示された(HR 0.667 [同 0.551-0.807] 、 p<0.0001) 。

OS中央値は45.8ヵ月、 死亡リスクを20.4%低減

追跡期間中央値52.5ヵ月におけるOS中央値は、 プラセボ群の37.0ヵ月(95%CI 34.1-40.4ヵ月) に対して併用群が45.8ヵ月 (同 39.4-50.8ヵ月)と有意な改善を示した (HR 0.796 [95%CI 0.661-0.958]、 p=0.0155)。

またOSサブグループ解析の結果、 事前に規定された全てのサブグループにおいて、 併用群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。

さらに、 遺伝子変異のない患者における探索的サブグループ解析では、 BRCA遺伝子変異陰性患者群におけるOS中央値は、 併用群が48.4ヵ月、 プラセボ群が37.1ヵ月 (HR 0.749 [95%CI 0.582-0.963]、 p=0.0237)だった。 またHRR遺伝子変異陰性患者群においては、 それぞれ46.6ヵ月、 37.4ヵ月 (HR 0.782 [95%CI 0.582-1.050]、 p=0.1008)と、 どちらの患者群においても併用群で死亡リスクが低減していた。

化学療法開始までの期間やQOLも改善

殺細胞性化学療法の開始までの期間中央値は、 併用群がNR (95%CI NR-NR)、 プラセボ群が56.1ヵ月 (同 32.7ヵ月-NR) だった (HR 0.568 [95%CI 0.6446-0.722]、 p<0.0001)。

またEORTC QLQ-C30のGlobal Health Statusに基づくQOL評価では、 QOL悪化までの期間中央値は併用群が41.5ヵ月と、 プラセボ群 (34.1ヵ月) と比較してQOLが維持される傾向にあった(HR 0.878 [95%CI 0.704-1.096]、 p=0.2487)。

安全性は管理可能、 主なTEAEは貧血

治療中に発現したGrade3/4の有害事象 (TEAE) 発現率は、 併用群75.9%、 プラセボ群44.6%であり、 治療中止に至ったAE発現率は、 それぞれ21.6%、 13.0%だった。

併用群において、 タラゾパリブ減量に至った主なTEAEは、 貧血 (46.2%)、 好中球減少 (16.3%)、 血小板減少 (6.2%) だった。 最も多く認められたTEAEは貧血で、 Grade3/4の貧血が49.0%で報告された。 貧血発現までの期間中央値は3.3ヵ月で、 42.2%がRBC輸血を必要とした。 8.5%が貧血のためタラゾパリブを中止した。

結論

タラゾパリブ+エンザルタミドが標準1次治療の選択肢に

Agarwal氏は 「タラゾパリブ+エンザルタミド併用療法は、 標準治療であるARPI単剤療法と比較し、 OSの有意な改善を示し、 追跡期間を延長しても安全性は管理可能であった。 本試験の結果は、 タラゾパリブ+エンザルタミド併用療法が、 HRR遺伝子異常の有無を問わずmCRPCに対する標準1次治療の選択肢となる可能性を支持するものである」 と報告した。

出典

¹⁾ Lancet, 2023. 402(10398): 291-303.

²⁾ Nat Med, 2024. 30(1): 257-264.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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