HOKUTO編集部
1ヶ月前
術後再発高リスクの局所進行頭頸部扁平上皮癌 (SCCHN) の術後療法において、 標準化学放射線療法 (CRT) への抗PD-1抗体ニボルマブの上乗せ効果を、 CRT単独療法と比較した第Ⅲ相無作為化比較試験NIVOPOSTOPの中間解析結果から、 DFSの有意な改善が示された。 スイス・Centre Hospitalier Universitaire VaudoisのJean Bourhis氏が発表した。
局所進行SCCHNは術後再発リスクが高いとされる。 標準治療はシスプラチンベースのCRTだが、 再発率は40~45%に達し、 アンメットニーズが存在する。
抗PD-1抗体は再発/転移性SCCHNの標準治療とされている一方で、 局所進行例での有効性はいまだ示されていない。
対象は、 肉眼的完全切除を受けた後、 病理学的所見で再発高リスク*と判定されたpStage III / IVbのSCCHN患者だった。
680例が以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。 今回の報告では、 DFSの解析に必要な症例数に到達した2024年4月30日をデータカットオフとして、 666例が評価された。
主要評価項目は担当医評価による無病生存期間 (DFS) で、 局所領域再発、 遠隔転移、 またはあらゆる原因による死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間と定義された。 重要な副次的評価項目は全生存期間 (OS)、 安全性だった。
年齢、 性別、 喫煙歴、 腫瘍部位などの患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。
再発高リスクの病理学的所見として、 節外浸潤陽性かつ断端陽性はNIVO+CRT群が33%、 CRT群が30%だった。 PD-L1 CPS<1はNIVO+CRT群 13%/CRT群 10%、 1-19が47%/42%、 ≧20が34%/40%だった。
2024年4月30日をデータカットオフとした追跡期間中央値30.3ヵ月(範囲16~44.9ヵ月)の評価において、 3年DFS率は、 CRT群の52.5%(95%CI 46.2-58.4%)と比較し、 NIVO+CRT群では63.1%(同 57.0-68.7%)と有意に改善した(HR 0.76、 95%CI 0.60-0.98、 p=0.034)。 NIVO+CRT群、 CRT群でそれぞれ、 12ヵ月DFS率は71.7%、 64.7%、 24ヵ月DFS率は64.9%、 52.5%だった。
DFSイベントの内訳は、 局所再発がNIVO+CRT群で39件、 CRT群で61件だった。 また、 累積発生率は1年時が11%/16%、 2年時が12%/19%、 3年時が13%/20%だった(HR 0.63、 95%CI 0.42-0.94)。
DFSサブグループ解析では、 PD-L1 CPS値 (<1、 1~19、 ≧20、 不明) とDFSの間に強い相関は示されなかった。
OSに関しては、 データカットオフ時点で事前に規定されたイベント数に到達せず、 正式な解析は行われなかった。 なお、 NIVO+CRT群/CRT群の12ヵ月OS率は、 89.2%/85.9%、 24ヵ月時は78.9%/75.6%、 36ヵ月時は74.2%/67.8%と、 NIVO+CRT群で良好な傾向だった。
シスプラチンの累積投与量≥200mg/m²は、 NIVO+CRT群が82%、 CRT群が87%で、 3サイクル投与を完了できた割合は62%/68%だった。 放射線総線量66Gyによる治療が完了した割合は91%/95%で、 NIVO+CRT群323例のうち260例がニボルマブ維持療法を開始していた。
CRT後9ヵ月以内に発現したGrade3の重篤な有害事象 (SAE) の発現は、 NIVO+CRT群の24.0%、 CRT群の13.7%で、 Grade4のSAEは4.2%/1.3%で認められた。 治療関連死亡は両群で1例ずつ発生した。
Bourhis氏は 「術後再発高リスクの局所進行SCCHNにおいて、 CRTにニボルマブを追加することでDFSが有意に改善した。 標準治療であるCRTに対する優越性を示した新たな治療レジメンは、 過去20年以上で初のことである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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